事務所だより 平成30年10月号

正規・非正規社員の賃金格差を考える…?  その② 

最高裁判決から学ぶ【労働契約法第20条違反の効力】 ?!

 

労働契約の内容が労基法に違反している場合は、その労働契約は労基法第13条により内容が無効となるだけではなく、労基法に従った契約内容に変更されますが、労働契約法にはそのような規定がありません。
ところで、最高裁は、労契法第20条に違反した内容の労働契約について「同条の効力により当該有期契約労働者の労働条件が比較の対象である無期契約労働者の労働条件と同一のものとなるものではない」と指摘しています。それでは、どうなるかといえば、法律的には契約内容が書き換えられるのではなく、損害賠償請求だけが認められることになります。

 

労契法第20条は「不合理と認められるものであってはならない」と定めており、「合理的なものでなければならない」とは定めていません。このことについて最高裁は、「労契法第20条は、職務の内容等が異なる場合であっても,その違いを考慮して両者の労働条件が均衡のとれたものあることを求める規定である」、「両者の労働条件が均衡のとれたものであるか否かの判断に当たっては、労使間の交渉や使用者の経営判断を尊重すべき面があることも否定し難い。」として、労働条件の相違がある場合は、相違があることを直ちに否定するのではなく、それが不合理といえるものであるかどうかを検討し、判断する必要があるとしています。

 

正社員と非正規社員の待遇格差について争われた判決内容については、先月号で特集いたしましたが、今回は、さらに個別の論点について整理したいと思います。

 

均衡と均等・・・??

 

同一労働同一賃金ガイドライン案では、「正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し」、「同一労働同一賃金は、いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指す。」としています。
さて、「均衡」とはバランスを考慮して不合理でないということを意味し、「均等」とは同じでなければならないことを意味します。違う言い方をすれば、「均衡」は一定の差を許容することであり「均等」は一定の差を許容しないことです。
労契法第20条は、均等待遇ではなく、均衡処遇を求めているということができます。

 

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