労務相談事例集
弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。
解決方法も併せてご覧いただき、御社の「困った!」を是非ご相談ください。 ※メールや電話相談だけのご契約も可能です。
ご相談はお電話またはお問合せフォームからどうぞ。
アパレルメーカー(2024年11月)
- 質問
2024年12月から健康保険証が発行されなくなり「マイナ保険証」を使うことになると聞きましたが現行の保険証が使えなくなるのでしょうか。
マイナンバーカードを持っていない人はどうすれば良いのでしょうか?- 回答
「マイナンバーカードの健康保険証利用」とは、医療機関・薬局でマイナンバーカードを健康保険証として利用(マイナ保険証)することをいい、顔認証付きカードリーダーで受け付けをします。
現行の健康保険証は2024年12月2日以降新たに発行されなくなり、その後はマイナ保険証に移行しますが、現行の保険証は有効期限までの間、最長1年間使用できます。※後期高齢者の有効期限は2025年7月31日まで。
マイナ保険証をお持ちで無い方は、「資格確認書」が交付され、これが保険証となります。まだマイナンバーカードをお持ちでない方はこの機会に取得し、利用登録を行ってください。■マイナンバーカードの申請方法
①PC、スマホでオンライン申請 ②郵便申請 ③街中の証明写真機から申請■利用登録の方法
① 医療機関・薬局のカードリーダーで行う
② マイナポータルから行う
③ セブン銀行ATMから行うマイナンバーカードをお持ちの方は利用登録だけでOKです。利用登録をしたのかどうか記憶が曖昧な方は、マイナポータルで確認できます。
既に「マイナ保険証」を利用されている方にも「資格情報のお知らせ」が届きます。これは、医療機関や薬局などでカードリーダーの受付ができない場合にマイナ保険証と一緒に提示することで資格確認を行うものですので、マイナ保険証と一緒に携行してください。なお、「資格情報のお知らせ」は、「資格確認書」とは異なりますので単体で保険証として利用できません。<ご参考>
詳しくは厚生労働省のHP等をご参照ください https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html
建設業(2024年10月)
- 質問
当社の男性社員より、産まれた子供の育児休業を取得したいとの申し出がありました。
当社では男性の育児休業が初めてのケースですので、女性と比較して何か違う対応はあるのでしょうか。- 回答
令和4年10月1日より雇用保険の出生時育児休業(産後パパ育休)給付金が創設され(改正雇保法61条の6~61条の9)、「出生日または出産予定日のいずれか早い日」から「出生日または出産予定日のうち遅い日から8週間を経過する日の翌日まで」の期間内に合計28日を限度に、2回まで分割して給付が受けられるようになっています。
男性が育休を取得する場合の出生時育児休業給付金申請時には、女性の「育児休業給付申請」とは異なり、出産予定日と出産日及び育児の事実を確認できる書類(※)の添付が必要となります。
※母子手帳の中で市区町村長が出生の証明をしているページと分娩予定日が記載されたページ、または医師の診断書また、健康保険・厚生年金・介護保険料は、男女問わず育児休業開始日の属する月から育児休業終了日の属する月の前月までの期間中は免除となります。
育児休業等の開始月の末日が育児休業期間である場合のほか、育児休業開始した当月中に14日以上育児休業等を取得した場合に免除となります。
賞与の保険料については、賞与支給月の末日を含む1ヶ月を超えて育児休業等を取得した場合のみ免除となります。
金融業(2024年10月)
- 質問
在職中に教育訓練のために休暇を取得した場合、雇用保険から給付が出るようになると聞きました。
当社ではこうした休暇制度は設けていませんが、休暇制度の整備を検討すべきなのでしょうか。- 回答
雇用保険の一般被保険者が、教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に給付金が支給されることになり(改正雇保法60条の3)、令和7年10月から施行されます。
期間は、訓練を開始した日から起算して原則1年間で、1日当たり支給されるのは基本手当の日額に相当する額です。
雇保法は休暇を取得した場合の給付について規定していますが、休暇に関しては、職業能力開発促進法に規定が設けられています。
事業主は、必要に応じ、援助を行うこと等により労働者の自発的な職業能力の開発、向上を促進することとしています(法10条の4)。
当該法の1項1号では、長期教育訓練休暇の付与を挙げていて、2号で始業終業時刻の変更や勤務時間の短縮なども選択肢となっています。
厚労省の雇用保険部会報告(令6・1・10)では、休暇制度について、給付金制度の創設に併せて、教育訓練休暇制度の周知や企業への導入支援など、普及促進に取り組むべきとしていますが、いずれも推奨となります。
製造業(2024年8月)
- 質問
当社の従業員が台湾の工場に3年間赴任することになりました。
本人との話合いで、給与はこれまで通り、日本での給与支給となり、社会保険も継続加入します。
妻も赴任に同行しますが、第3号関係は、そのまま継続という説明でよろしいでしょうか。- 回答
令和2年4月1日以降の被扶養者の認定に当たり、それまでの生計維持要件に加え日本国内に住所を有する(住民票がある)ことが要件として追加されました。
ただし、留学生や海外赴任に同行する家族等の日本国内に生活の基礎があると認められる場合は国内居住要件の例外として被扶養者の認定が可能となっています。この特例のことを海外特例要件としています。
第3号被保険者も同様に、海外特例要件の届出が必要であり、国外転出後2ヶ月を経過しても海外特例要件該当届または海外特例要件喪失届の提出がない場合は、日本年金機構から勧奨状が送付されます。
更に2ヶ月を経過しても届出がない場合は、職権により第3号被保険者の特例要件の喪失手続きが行われますので注意してください。
海外への転出、海外からの転入により市区町村で住民票の転出入の登録をすると、日本年金機構との連携により転出入情報が更新されます。
食品加工業(2024年7月)
- 質問
期間契約のパートを募集する際に、契約期間等の上限を設けるときは、明示が必要だと聞きました。
当社は、有期雇用者の雇用上限年齢を60歳として規則に定めていますので、60歳未満の人に限定して募集することは問題ないでしょうか。
もしかすると、年齢制限に抵触するのでしょうか。- 回答
まず、年齢を制限して募集採用することは原則できないこととされています。
ただし、例外があり(労推則1条の3第1項)、定年がある場合で定年年齢を下回ることを条件としたり(1号)、労基法等で年齢による就業制限がある場合にその範囲を除外する場合(2号)等です。
有期契約労働者をいつ雇止めするかは、労働者の募集・採用とは直接関係がありません。よって、60歳で雇止めをするとの規定を就業規則に定めている場合でも、労推法9条違反にはなりません。しかし、例外事由(1号)でいう定年とは、期間の定めのない労働者の雇止め年齢を指すため、有期契約労働者の募集において就業規則に基づく年齢制限を行った場合は、法9条違反となります(令和5年厚労省Q&A、ハローワーク)。
また、契約更新を繰り返すことを想定している場合でも、60歳未満とすることはできませんのでご注意ください。※ 労推則:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
不動産業(2024年6月)
- 質問
最近、「65歳超雇用推進助成金」という記事をみました。
この助成金は、以前あった高齢者多数雇用という助成金と同じ内容のものでしょうか。
当社は、定年後再雇用者が多く、受給可能であれば、挑戦したいと思っています。- 回答
65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)は、高年齢者の雇用の推進を図るため、50歳以上かつ定年未満の有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換させた事業主に対して助成をするものです。
再雇用者の多数雇用というものではございません。1.無期雇用転換計画の認定
有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する計画(以下「無期雇用転換計画」という)を作成し、各都道府県支部を経由して独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構本部(以下「機構本部」という)に提出してその認定を受ける。
2.無期雇用転換計画の実施
1の無期雇用転換計画に基づき、当該無期雇用転換計画期間内に、雇用する50歳以上かつ定年年齢未満の有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換する。
3.助成金の支給を受けようとする事業主は「65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)支給申請書」に必要書類を添えて、転換後6ヶ月分(勤務した日数が 11日未満の月は除く)の賃金を支給した日の翌日から起算して2ヶ月以内に、機構本部に提出する。【支給額】
・対象労働者1人あたり30万円
(中小企業事業主以外は23万円)
・1支給申請年度1適用事業所あたり10人までが上限定年後再雇用者は65歳で雇用終了のままでは、この助成金を受けようとすると、バランスを欠くことになってしまいます。
まずは、現有社員の70歳までの雇用継続措置が確定してから、ということになりそうですね。
小売業(2022年11月)
- 質問
従業員が結婚をしたことに伴い、健康保険被保険者証が新たに交付されました。
現在はマイナンバーと健康保険の情報が紐づいているとのことで、従業員が住民票上の氏名変更手続きを行えば、追って健康保険被保険者証が会社宛に郵送される(現在は協会けんぽのみ)ようになっているそうです。
しかし、この従業員には前夫との間の子供(10歳)がいますが、送付された子供の健康保険被保険者証に印字されている姓は旧姓のままで、被保険者の姓のみが変更されていました。
この健康保険被保険者証は使用できるのでしょうか?- 回答
現在、市区町村で行われた氏名変更手続情報はマイナンバーに登録され、マイナンバーを介して基礎年金番号を管理している日本年金機構にもその情報が共有されています。
毎月ある時期になると変更情報が日本年金機構に一斉に共有され、年金機構は基礎年金番号を媒介にそれらを受信し、基礎年金番号に登録された氏名情報を更新することで氏名変更者を抽出することができるようになりました。
さらに、その情報を協会けんぽと共有することで、変更者のみ被保険者証の自動交付を行う仕組となっています。日本年金機構が管理しているのは、あくまで基礎年金番号ですので、被保険者(基礎年金番号を把握している人)の変更情報は自ら把握できるのですが、被扶養者については配偶者以外は提出の必要がないため、被扶養者の氏名変更情報は受信することができません。
特に今回の場合はお子様が10歳とのことで、基礎年金番号自体が付番されていませんから、被扶養者の氏名変更は行われず、旧姓のままの発行となったものと思われます。
この場合は、被扶養者異動届により、お子様の氏名変更手続を行いますので、交付されたお子様の健康保険被保険者証を弊所にご郵送ください。
ガソリンスタンド(2021年12月)
- 質問
当社のアルバイトが兼業先の企業において業務上被災し、休業することになりました。
そのアルバイトは、このことが原因で当社を退職したのですが、先日、負傷日前直近3ヶ月の賃金額等の証明依頼がありました。
当社で被災したわけではありませんので、証明しなくてもよいでしょうか。- 回答
複数の会社で働いている労働者の方については、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付が行われないこと、すべての会社の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を合わせて評価して労災認定されないことが課題となっていました。
このため、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)が2020年9月に改正されました。
これにより、①複数事業労働者の業務上の事由、②複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由または、③通勤による負傷等における保険給付の給付基礎日額は、事業ごとに合算となりました。
複数事業労働者とは、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(法1条)ですが、保険給付の対象には、複数事業労働者に「類する者」(法7条1項2号)も含みます。
「類する者」とは、負傷等の原因または要因となる事由が生じた時点で2以上の事業に同時に使用されていた労働者(労災則5条)をいい、算定事由発生日に2以上の事業に使用されていない者(令2・8・21基発0821第2号)が該当します。
傷病等の原因または要因となる事由が生じた時期に複数就業していれば、既にいずれかの事業を退職していても、賃金合算の対象になるとしていますので、御社の賃金額等の証明が必要となります。
金属部品製造業(H30年2月)
- 質問
弊社では、ほぼ毎月残業が発生しますので、残業の多い月と少ない月を平均した額を計算し固定残業代として毎月支払っています。
先日、残業時間数などの内訳を明示しないと、これまでのような支払方ができなくなると聞いたのですが、本当でしょうか?- 回答
固定残業制を続ける場合は、基本給の額とは別に実際の残業時間数と残業代の計算方法とその金額を明示することが必要です。
例えば、【月給30万円(時間外手当込み)】という文言は、「固定残業代」と「基本給等の額」が区別されていないので不適切となり、【月給25万円、時間外手当5万円】というのも、「基本給等の額」は区別されていますが、「固定残業代」としている5万円の計算根拠となる残業時間数や1時間当たりの賃金額が明記されていないので、これも不適切となります。
「1時間当たりの賃金」は、1ヶ月の平均所定労働時間{(365日-1年間の所定休日日数)×(1日の所定労働時間)}÷12を分母として(月給+各種手当)を割ります。
「残業時間数」は、タイムカードなどにより適切に把握し、固定残業代の基礎となっている労働時間数を超えて残業をした場合は、追加の割増賃金を支払う必要がありますし、その旨を明記しなければなりません。
近年、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが多発しているため、青少年が応募する可能性のある募集または求人について、指針は「固定残業代」に関する適切な表示をするよう定めています。法令に従った適正な管理と計算をすることが労務管理の基本です。