労務相談事例集

弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。
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食品加工業(2024年7月)

質問

期間契約のパートを募集する際に、契約期間等の上限を設けるときは、明示が必要だと聞きました。
当社は、有期雇用者の雇用上限年齢を60歳として規則に定めていますので、60歳未満の人に限定して募集することは問題ないでしょうか。
もしかすると、年齢制限に抵触するのでしょうか。

回答

まず、年齢を制限して募集採用することは原則できないこととされています。
ただし、例外があり(労推則1条の3第1項)、定年がある場合で定年年齢を下回ることを条件としたり(1号)、労基法等で年齢による就業制限がある場合にその範囲を除外する場合(2号)等です。
有期契約労働者をいつ雇止めするかは、労働者の募集・採用とは直接関係がありません。よって、60歳で雇止めをするとの規定を就業規則に定めている場合でも、労推法9条違反にはなりません。しかし、例外事由(1号)でいう定年とは、期間の定めのない労働者の雇止め年齢を指すため、有期契約労働者の募集において就業規則に基づく年齢制限を行った場合は、法9条違反となります(令和5年厚労省Q&A、ハローワーク)。
また、契約更新を繰り返すことを想定している場合でも、60歳未満とすることはできませんのでご注意ください。

※ 労推則:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

不動産業(2024年6月)

質問

最近、「65歳超雇用推進助成金」という記事をみました。
この助成金は、以前あった高齢者多数雇用という助成金と同じ内容のものでしょうか。
当社は、定年後再雇用者が多く、受給可能であれば、挑戦したいと思っています。

回答

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)は、高年齢者の雇用の推進を図るため、50歳以上かつ定年未満の有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換させた事業主に対して助成をするものです。
再雇用者の多数雇用というものではございません。

1.無期雇用転換計画の認定
有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する計画(以下「無期雇用転換計画」という)を作成し、各都道府県支部を経由して独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構本部(以下「機構本部」という)に提出してその認定を受ける。
2.無期雇用転換計画の実施
1の無期雇用転換計画に基づき、当該無期雇用転換計画期間内に、雇用する50歳以上かつ定年年齢未満の有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換する。
3.助成金の支給を受けようとする事業主は「65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)支給申請書」に必要書類を添えて、転換後6ヶ月分(勤務した日数が  11日未満の月は除く)の賃金を支給した日の翌日から起算して2ヶ月以内に、機構本部に提出する。

【支給額】
・対象労働者1人あたり30万円
(中小企業事業主以外は23万円)
・1支給申請年度1適用事業所あたり10人までが上限

定年後再雇用者は65歳で雇用終了のままでは、この助成金を受けようとすると、バランスを欠くことになってしまいます。
まずは、現有社員の70歳までの雇用継続措置が確定してから、ということになりそうですね。

金属加工業(2024年5月)

質問

産業医を選任していますが、月一回の安全衛生委員会に出席していただくだけで、後は何も依頼しないし、産業医の方からのお話しもありません。
幸いここ数年、事故もなく、衛生的な問題も発生していませんが、これで問題ないのかどうか不安です。
当社が産業医に情報提供していないことが原因かもしれませんので、改めて、産業医に提供すべき情報を教えてください。

回答

産業医への定期的な情報提供例としては、以下の通りです。
1) 長時間労働者の面接指導(義務規定)の労働時間の基準該当者の業務実態
時間外・休日労働時間が月100 時間を超えた労働者に関する作業環境、労働時間、深夜業の回数及び時間数等の情報
2) 週1 回以上の衛生管理者の職場巡視の結果(職場環境等の状況)
3) 上記のほか、新規に使用される予定の化学物質・工具名など各事業場の状況に応じて判断した事項

安全衛生委員会で議題となっているかもしれませんが、過重労働対策、メンタルヘルス対策の対策に関する情報提供も有効と思われます。
産業医は、産業医の職務を行うため必要と判断した際などにおいて、必要な事業場・労働者に関する情報を入手、産業医が自ら作成することなどが必要とされていますので、定期的な情報提供を心がけましょう。

食品加工業(2024年4月)

質問

数年ぶりにハローワークで求人したいと考えています。
昨今の法改正により、求人票の項目も多くなったと聞きますが、注意すべきことがあれば、事前に規則との整合を図りたいと思いますので、教えてください。

回答

最低限明示しなければならない労働条件等は、つぎの通りです。
業務内容、契約期間、試用期間、就業場所、就業時間、休憩時間、休日、時間外労働、賃金、加入保険、受動喫煙防止措置、募集者の氏名または名称、派遣労働者として雇用する場合はその旨。
また、上記に関して、具体的には以下のような内容の表示が必要です。
・「就業時間」の項目において、裁量労働制を採用している場合は、「○○型裁量労働制により○時間働いたものとみなされます」などの表示が必要です。
・ 「賃金」の項目において、いわゆる固定残業代を採用する場合は、①基本給、②○○手当(○時間分の時間外手当として○○円を支給)、③○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給、のような記載が必要です。
・ 試用期間中の労働条件が異なる場合は、試用期間中の労働条件についても明示が必要です。よって、募集内容を詳細化するということではなく、誤解が生じないような内容にするということです。
さらに、令和6年(2024年)4月の改正により、雇用契約書同様につぎの事項が追加されました。
(1)従事すべき業務の変更の範囲
「変更の範囲」とは、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲のことをいいます。
(2)就業場所の変更の範囲
「変更の範囲」とは、上記(1)と同じです。
(3)有期労働契約を更新する場合の基準

服職業(2024年3月)

質問

わが社は、数名のフリーランスとデザイナー契約を締結しています。
新法の概要をみましたが、募集情報の的確な表示とは、どこまでのことをいっているのでしょうか。
これまでは、業務内容と報酬額の提示(○○万円以上)だけでしたので、詳しく教えてください。

回答

ご質問の規定は、広告等に掲載されたフリーランスの募集情報と実際の取引条件が異なることにより、その募集情報を見て募集に応じたフリーランスと発注事業者との間で取引条件を巡るトラブルが発生したり、フリーランスがより希望に沿った別の業務を受注する機会を失ってしまったりするのを防止することを目的として設けられているものです。
この規定に違反することになる表示としては、たとえば、 意図的に実際の報酬額よりも高い額を表示する(虚偽表示)、 実際に募集を行う企業と別の企業の名前で募集を行う(虚偽表示)、報酬額の表示が、あくまで一例であるにもかかわらず、その旨を記載せず、当該報酬が確約されているかのように表示する(誤解を生じさせる表示)、業務に用いるパソコンや専門の機材など、フリーランスが自ら用意する必要があるにもかかわらず、その旨を記載せず表示する(誤解を生じさせる表示)、既に募集を終了しているにもかかわらず、削除せず表示し続ける(古い情報の表示)などが想定されています。
よって、募集内容を詳細化するということではなく、誤解が生じないような内容にするということです。
なお、当事者の合意に基づき、広告等に掲載した募集情報から、実際に契約する際の取引条件を変更する場合などは、この規定に違反するものではないとされています。

清掃業(2024年2月)

質問

わが社の従業員には、在職老齢年金を受給している者が多く、休憩時間には、いつも年金の話ばかりしています。
その話の中で、支給停止調整額が変わると言っていましたが、本当でしょうか?

回答

総務省から、1月19 日に「令和5年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)が公表され、これを踏まえた令和6年度の年金額が、法律の規定に基づき、令和5年度から2.7%の引上げとなります。
支給停止調整額も、名目賃金の変動に応じて、4月から改定されることとなりました。
在職老齢年金は、賃金(賞与込み月収)と年金の合計額が、支給停止調整額を上回る場合には、賃金の増加2に対し年金額を1支給停止する仕組みとなっています。
厚生年金保険法第46 条第3項の規定

小売業(2022年11月)

質問

従業員が結婚をしたことに伴い、健康保険被保険者証が新たに交付されました。
現在はマイナンバーと健康保険の情報が紐づいているとのことで、従業員が住民票上の氏名変更手続きを行えば、追って健康保険被保険者証が会社宛に郵送される(現在は協会けんぽのみ)ようになっているそうです。
しかし、この従業員には前夫との間の子供(10歳)がいますが、送付された子供の健康保険被保険者証に印字されている姓は旧姓のままで、被保険者の姓のみが変更されていました。
この健康保険被保険者証は使用できるのでしょうか?

回答

現在、市区町村で行われた氏名変更手続情報はマイナンバーに登録され、マイナンバーを介して基礎年金番号を管理している日本年金機構にもその情報が共有されています。

毎月ある時期になると変更情報が日本年金機構に一斉に共有され、年金機構は基礎年金番号を媒介にそれらを受信し、基礎年金番号に登録された氏名情報を更新することで氏名変更者を抽出することができるようになりました。
さらに、その情報を協会けんぽと共有することで、変更者のみ被保険者証の自動交付を行う仕組となっています。

日本年金機構が管理しているのは、あくまで基礎年金番号ですので、被保険者(基礎年金番号を把握している人)の変更情報は自ら把握できるのですが、被扶養者については配偶者以外は提出の必要がないため、被扶養者の氏名変更情報は受信することができません。

特に今回の場合はお子様が10歳とのことで、基礎年金番号自体が付番されていませんから、被扶養者の氏名変更は行われず、旧姓のままの発行となったものと思われます。
この場合は、被扶養者異動届により、お子様の氏名変更手続を行いますので、交付されたお子様の健康保険被保険者証を弊所にご郵送ください。

ガソリンスタンド(2021年12月)

質問

当社のアルバイトが兼業先の企業において業務上被災し、休業することになりました。
そのアルバイトは、このことが原因で当社を退職したのですが、先日、負傷日前直近3ヶ月の賃金額等の証明依頼がありました。
当社で被災したわけではありませんので、証明しなくてもよいでしょうか。

回答

複数の会社で働いている労働者の方については、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付が行われないこと、すべての会社の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を合わせて評価して労災認定されないことが課題となっていました。
このため、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)が2020年9月に改正されました。
これにより、①複数事業労働者の業務上の事由、②複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由または、③通勤による負傷等における保険給付の給付基礎日額は、事業ごとに合算となりました。
複数事業労働者とは、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(法1条)ですが、保険給付の対象には、複数事業労働者に「類する者」(法7条1項2号)も含みます。
「類する者」とは、負傷等の原因または要因となる事由が生じた時点で2以上の事業に同時に使用されていた労働者(労災則5条)をいい、算定事由発生日に2以上の事業に使用されていない者(令2・8・21基発0821第2号)が該当します。
傷病等の原因または要因となる事由が生じた時期に複数就業していれば、既にいずれかの事業を退職していても、賃金合算の対象になるとしていますので、御社の賃金額等の証明が必要となります。

金属部品製造業(H30年2月)

質問

弊社では、ほぼ毎月残業が発生しますので、残業の多い月と少ない月を平均した額を計算し固定残業代として毎月支払っています。
先日、残業時間数などの内訳を明示しないと、これまでのような支払方ができなくなると聞いたのですが、本当でしょうか?

回答

固定残業制を続ける場合は、基本給の額とは別に実際の残業時間数と残業代の計算方法とその金額を明示することが必要です。
例えば、【月給30万円(時間外手当込み)】という文言は、「固定残業代」と「基本給等の額」が区別されていないので不適切となり、【月給25万円、時間外手当5万円】というのも、「基本給等の額」は区別されていますが、「固定残業代」としている5万円の計算根拠となる残業時間数や1時間当たりの賃金額が明記されていないので、これも不適切となります。
「1時間当たりの賃金」は、1ヶ月の平均所定労働時間{(365日-1年間の所定休日日数)×(1日の所定労働時間)}÷12を分母として(月給+各種手当)を割ります。
「残業時間数」は、タイムカードなどにより適切に把握し、固定残業代の基礎となっている労働時間数を超えて残業をした場合は、追加の割増賃金を支払う必要がありますし、その旨を明記しなければなりません。
近年、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが多発しているため、青少年が応募する可能性のある募集または求人について、指針は「固定残業代」に関する適切な表示をするよう定めています。法令に従った適正な管理と計算をすることが労務管理の基本です。

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