労務相談事例集

弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。
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空調設備工事業(2019年10月)

質問

改正法によりますと、事業者は「労働時間の状況を把握しなければならない」とされていますが、どのような状況を把握すればよいのでしょうか。
また、把握の方法については、タイムカードによる記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする、とされていますが、タイムカードが設置できない場合など、いったいどのような方法ならば、問題ないのでしょうか。

回答

『労働時間の状況の把握』とは、労働者の健康確保措置を適切に実施することを目的として、労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったのかを把握するというものです。
状況を把握する方法としては、原則として、タイムカード、PC等の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録、事業者(管理権限のある者を含む。)の現認等の客観的な記録により、労働者の労働日ごとの出退勤時刻や入退室時刻の記録等によることになります。なお、労働時間の状況の把握は、賃金台帳に記入した労働時間数で代えることができます。ただし、労基法第41 条各号に掲げる者(以下「管理監督者等」という。)ならびに事業場外労働のみなし労働時間制が適用される労働者、裁量労働制の適用者については、適正に把握しなければなりません。

つぎに、やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合には、労働者の自己申告による把握によることができますが、その場合には、次のアからオまでの措置を全て講じる必要があるとされています。

ア 労働時間の状況の実態を正しく記録し、適正に自己申    告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
イ 実際に労働時間の状況を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、講ずべき措置について十分な説明を行うこと。
ウ 自己申告による労働時間が実際の労働時間の状況と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、労働時間の状況を補正すること。
エ 自己申告した退勤時間以降も在社している場合、または事業場外において労務を提供し得る状態であった時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。(例示省略)
オ 事業者は、労働者が自己申告できる労働時間の状況に上限を設け、上限を超える申告を認めないなど、労働者による労働時間の状況の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

リフォーム工事業(2019年9月)

質問

パワハラ防止法により、事業主に相談体制の整備などパワハラ防止対策を講じるように義務付けられたと聞きました。
弊社もこの機会に、パワハラ防止規程を整備しようと考えていますが、どの様な内容を盛り込むことが必要なのか教えてください。

回答

会社の方針を明確にするとともに、その周知・啓発を図るという意味で、規程には会社(事業主)としてどの様な方針のもとにパワハラ防止対策を講じるのか、そして会社の目指すところはどこなのかを明記する必要があります。
その上で、基本となる項目については防止規程をみれば分かるように、規程そのものに明記することが適切です。また、その事項を受けて事務的あるいは運用上の手続などは、別途運用規則を定めて具体的に記載することが良いでしょう。

パワハラ防止規程の一般的な項目と内容は、次のとおりです。
【目的】
会社としての職場におけるハラスメントに対する姿勢を明確にする(ハラスメントはあってはならないものであることの宣言)こと、ハラスメントについての周知啓発を行うこと、ハラスメントの防止及び排除を図るための措置を講じることを宣言する。
【定義】
対象とするハラスメントを定義する。
労働政策総合推進法を参照してください。
【適用範囲】
会社に雇用されているすべての従業員を対象にすることを明記する。
【禁止するべき行為】
社内に特有な行為がみられるのであれば、可能な範囲で具体的に規定する。
その他、【管理職・従業員の責務】【苦情相談対応】
【守秘義務】【懲戒処分】などの項目について、社内のルールを決定し、全従業員に周知し、実効性のあるものとしましょう。

施設管理業(2019年8月)

質問

ビル管理業務における警備員の勤務時間は、午前9時から翌日午前9時までです。休憩時間2時間のほかに仮眠時間が6時間あります。ただし、仮眠時間中であっても警報装置が作動した場合や電話には対応することになっています。
仮眠時間は休憩時間と同じで労働時間ではないので、時間外や深夜の割増賃金を支払っていません。
ところが、入社したばかりの社員から、「仮眠時間も労働時間なので、賃金を支払う必要がある」と請求されたのですが、労働時間なのでしょうか?

回答

仮眠時間は、実際に仕事をしている状態ではありませんが、使用者の指揮命令下にあって、すぐ仕事に取りかかれる状態で、仕事を待っている時間(「手待時間」といいます。)は労働時間に含まれます。
たとえば、販売店のスタッフやタクシーの運転手が客待ちをしている時間がこれにあたります。このように労働者がその時間を自由に使うことができない場合には、使用者の指揮命令下にあるといえますので、通常、労働時間にあたると考えられています。
御社のように、労働者が労働契約に基づき仮眠室において待機すること、そして警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられているときは、実作業に従事していない仮眠時間も含め全体として労働者が使用者の指揮命令下に置かれており、労働時間に含まれることになります。
仮眠時間が労働基準法上の労働時間に該当するかどうかについて最高裁の判決では、「実作業に従事していない仮眠時間(不活動仮眠時間)が労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価できるか否かにより客観的に定まるものというべきである。
不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間にあたるというべきである」とされています。

※ 宿直勤務に就く嘱託員の仮眠時間を休憩時間とみなし、賃金を支払っていなかったとして監督署から是正勧告され、過去2年分(約5300万円)の支払命令を受けた裁判例もあります。

介護施設運営(2019年2月)

質問

労働基準法が改正されましたが、それぞれの施行期日とその罰則を教えてください。

回答

改正条項のほとんどが平成31年4月1日からの施行となり、罰則は適用されるものとされないものがあります。

●3ヶ月フレックスタイム制
 施行期日 平成31年4月1日
 罰  則 労使協定の届出違反 30万円以下の罰金

●時間外労働の上限規制に係る規定
 施行期日 平成31年4月1日
 罰  則 上限時間(80時間、100時間)違反 
 6ヶ月以下の懲役又は30円以下の罰金
 経過措置 中小事業主は平成32年4月1日から適用
 適用除外 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務
 適用猶予 工作物の建設等の事業、自動車の運転の業務、医業に従事する医師等
 ※平成36年4月1日から適用

●年次有給休暇
 施行期日 平成31年4月1日
 罰  則 年5日以上取得させなかった使用者に対して、対象1名につき30万円以下の罰金

●割増賃金率の適用
 施行期日 中小事業主は平成 35 年4月1日から適用
 罰  則 6ヶ月以下の懲役又は30円以下の罰金

●労働基準法施行規則の見直し
 施行期日 平成31年4月1日
  ⑴ 労働条件の明示    → 真実を明示すること
  ⑵ 労働条件の明示の方法 → 希望によりmail可
  ⑶ 過半数代表者関係   → 民主的な選出に限る

金属部品製造業(H30年2月)

質問

弊社では、ほぼ毎月残業が発生しますので、残業の多い月と少ない月を平均した額を計算し固定残業代として毎月支払っています。
先日、残業時間数などの内訳を明示しないと、これまでのような支払方ができなくなると聞いたのですが、本当でしょうか?

回答

固定残業制を続ける場合は、基本給の額とは別に実際の残業時間数と残業代の計算方法とその金額を明示することが必要です。
例えば、【月給30万円(時間外手当込み)】という文言は、「固定残業代」と「基本給等の額」が区別されていないので不適切となり、【月給25万円、時間外手当5万円】というのも、「基本給等の額」は区別されていますが、「固定残業代」としている5万円の計算根拠となる残業時間数や1時間当たりの賃金額が明記されていないので、これも不適切となります。
「1時間当たりの賃金」は、1ヶ月の平均所定労働時間{(365日-1年間の所定休日日数)×(1日の所定労働時間)}÷12を分母として(月給+各種手当)を割ります。
「残業時間数」は、タイムカードなどにより適切に把握し、固定残業代の基礎となっている労働時間数を超えて残業をした場合は、追加の割増賃金を支払う必要がありますし、その旨を明記しなければなりません。
近年、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが多発しているため、青少年が応募する可能性のある募集または求人について、指針は「固定残業代」に関する適切な表示をするよう定めています。法令に従った適正な管理と計算をすることが労務管理の基本です。

各種認定資格等