労務相談事例集

弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。
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飲食業(2020年3月)

質問

社員の中に、熱や咳がある者がいます。新型コロナウイルスが流行っており、職場の同僚への感染が心配なので、自宅待機をさせたいと思いますが、どうしたらよいのでしょうか。

回答

厚生労働省のHPでも、発熱などの風邪の症状があるときは、会社を休んでいただくよう呼びかけています。
休むことは本人のためにもなりますし、感染拡大の防止にもつながる大切な行動です。
さて、新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取り扱いが問題になります
実際に新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事の指示による就業制限により労働者が休業する場合でも、「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと考えられますので、会社が休業手当を支払う必要はありません。なお、要件を満たせば、健康保険の傷病手当金が支給されます。
また、新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱って差し支えありません。
しかし、たとえば熱が37.5度以上あることなど、一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる場合のように、使用者の自主的な判断により休業させるときは、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
年次有給休暇は、原則として労働者の請求する時季に与えなければなりませんので、使用者が一方的に取得させることはできません。
いずれにしても、緊急的、例外的な事態ですので、就業規則などの規定に照らし、労使で十分に話し合っていただき、安心して休業することのできる体制を整えることが重要です。

【ご参考】
「濃厚接触」とは、必要な感染予防策をせずに手で触れること、または対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(目安として2メートル)で一定時間以上接触があった場合をいうとされています。

建設資材販売業(2020年2月)

質問

36協定違反に対する監督署の指導が厳しくなったとききますが、残業時間の管理についてどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
わが社の残業は、特に多いとは思っていませんが、普通にありますし、ときには多くなることもあります。
なお、36協定は締結し届出ており、出退勤は自己申告制で記録させています。

回答

時間外労働の上限規制の強化は、長時間労働を是正して、働く人たちの健康を確保するとともに、仕事と家庭生活の両立を目指すものです。
従来より、36協定により延長できる時間の限度時間は、月45時間・年360時間が原則です。
そして、臨時的な特別の事情があって労使が特別条項に合意する場合でも、延長時間の上限は、1年について720時間以内、1か月については時間外労働と休日労働を併せて100時間未満(複数月では、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均で、いずれにおいても80時間以内)です。また、特別条項により月45時間を超えて残業させることができるのは1年のうち6か月までとなっています。
この上限規制を超えた場合、罰則(半年以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられます。施行日は、大企業で2019年4月から適用されており、中小企業では2020年4月1日から適用されます。
注意すべきことは、労働時間の適正な把握(始業・終業時刻を適正に把握し記録すること)です。
そのためには、タイムカード、ICカード等により客観的に記録し、確認することのできる方法が優れています。
自己申告制を採用することもできますが、その記録の信憑性が争いになった時には、他の資料で明らかにする必要が生じます。使用者が自ら現認し、記録する方法も同様です。
また、自己申告制は不正確に記録される懸念もありますので、タイムカード等の改ざんすることのできない機械的に記録されたデータにより把握記録することが適切とされています。
タイムカードの場合、その打刻のタイミングとして業務終了後は一定の時間内に打刻することを会社のルールとして定め、全員がそれに基づいて打刻するようにされるとよいでしょう。なお、一定の時間のうち、労働時間としてカウントする必要のある時間があるのかどうかについては、従業員と話し合っておくことをお勧めします。

青果販売業(2020年1月)

質問

現在、妻の両親と同居しており、健康保険は、両親(父71歳、母68歳)ともに私の被扶養者となっています。
妻も当社の役員で健康保険に加入しています。
昨年9月より、妻と妻の両親の医療費が高額になっていますが、高額療養費の「世帯合算」の考え方を教えてください。

回答

まず高額療養費の対象は、保険適用される診療に対し、患者が支払った自己負担額が対象となり、「食費」・「居住費」、「差額ベッド代」・「先進医療にかかる費用」等は、高額療養費の支給の対象とはされていません。
「世帯合算」とは、被保険者・被扶養者の自己負担額の合算をいい、同一の医療保険に加入する家族を単位として行われます。 たとえば、会社で働く方やその家族などが加入する健康保険であれば、被保険者とその被扶養者の自己負担額は、お互いの住所が異なっていても合算できます。
一方、ご質問者のように、ご夫婦それぞれが被保険者となっている場合は、住所が同じでもご夫婦は合算の対象となりません。また、後期高齢者医療制度の被保険者(75歳以上の高齢者)が同居されている場合、それぞれの医療費は合算の対象となりません。
さて、奥様のご両親の場合(71歳と68歳)ですが、合算について、少しややこしい計算となります。

※ 同じ世帯に69歳以下と70歳以上の方がいる場合、以下のような手順で、家族の皆様の自己負担額を合算し、その合計が世帯全体の自己負担の上限を超えないようにしています。
① 70歳以上の方について、外来の自己負担額を個人ごとに合算した額に、70歳以上の方の外来における負担の上限額をそれぞれ当てはめ、差額を支給。
② 70歳以上の方の入院分の自己負担額と、①によってもなお残る自己負担額とを合計した額に、70歳以上の方の世帯における負担の上限額を当てはめ、差額を支給。
③ 69歳以下の方の自己負担額と、②によってもなお残る自己負担額を合計した、世帯全体の自己負担額に、世帯全体における負担の上限額を当てはめ、差額を支給。

介護施設運営(2019年2月)

質問

労働基準法が改正されましたが、それぞれの施行期日とその罰則を教えてください。

回答

改正条項のほとんどが平成31年4月1日からの施行となり、罰則は適用されるものとされないものがあります。

●3ヶ月フレックスタイム制
 施行期日 平成31年4月1日
 罰  則 労使協定の届出違反 30万円以下の罰金

●時間外労働の上限規制に係る規定
 施行期日 平成31年4月1日
 罰  則 上限時間(80時間、100時間)違反 
 6ヶ月以下の懲役又は30円以下の罰金
 経過措置 中小事業主は平成32年4月1日から適用
 適用除外 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務
 適用猶予 工作物の建設等の事業、自動車の運転の業務、医業に従事する医師等
 ※平成36年4月1日から適用

●年次有給休暇
 施行期日 平成31年4月1日
 罰  則 年5日以上取得させなかった使用者に対して、対象1名につき30万円以下の罰金

●割増賃金率の適用
 施行期日 中小事業主は平成 35 年4月1日から適用
 罰  則 6ヶ月以下の懲役又は30円以下の罰金

●労働基準法施行規則の見直し
 施行期日 平成31年4月1日
  ⑴ 労働条件の明示    → 真実を明示すること
  ⑵ 労働条件の明示の方法 → 希望によりmail可
  ⑶ 過半数代表者関係   → 民主的な選出に限る

金属部品製造業(H30年2月)

質問

弊社では、ほぼ毎月残業が発生しますので、残業の多い月と少ない月を平均した額を計算し固定残業代として毎月支払っています。
先日、残業時間数などの内訳を明示しないと、これまでのような支払方ができなくなると聞いたのですが、本当でしょうか?

回答

固定残業制を続ける場合は、基本給の額とは別に実際の残業時間数と残業代の計算方法とその金額を明示することが必要です。
例えば、【月給30万円(時間外手当込み)】という文言は、「固定残業代」と「基本給等の額」が区別されていないので不適切となり、【月給25万円、時間外手当5万円】というのも、「基本給等の額」は区別されていますが、「固定残業代」としている5万円の計算根拠となる残業時間数や1時間当たりの賃金額が明記されていないので、これも不適切となります。
「1時間当たりの賃金」は、1ヶ月の平均所定労働時間{(365日-1年間の所定休日日数)×(1日の所定労働時間)}÷12を分母として(月給+各種手当)を割ります。
「残業時間数」は、タイムカードなどにより適切に把握し、固定残業代の基礎となっている労働時間数を超えて残業をした場合は、追加の割増賃金を支払う必要がありますし、その旨を明記しなければなりません。
近年、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが多発しているため、青少年が応募する可能性のある募集または求人について、指針は「固定残業代」に関する適切な表示をするよう定めています。法令に従った適正な管理と計算をすることが労務管理の基本です。

各種認定資格等