労務相談事例集

弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。
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ガソリンスタンド(2021年12月)

質問

当社のアルバイトが兼業先の企業において業務上被災し、休業することになりました。
そのアルバイトは、このことが原因で当社を退職したのですが、先日、負傷日前直近3ヶ月の賃金額等の証明依頼がありました。
当社で被災したわけではありませんので、証明しなくてもよいでしょうか。

回答

複数の会社で働いている労働者の方については、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付が行われないこと、すべての会社の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を合わせて評価して労災認定されないことが課題となっていました。
このため、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)が2020年9月に改正されました。
これにより、①複数事業労働者の業務上の事由、②複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由または、③通勤による負傷等における保険給付の給付基礎日額は、事業ごとに合算となりました。
複数事業労働者とは、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(法1条)ですが、保険給付の対象には、複数事業労働者に「類する者」(法7条1項2号)も含みます。
「類する者」とは、負傷等の原因または要因となる事由が生じた時点で2以上の事業に同時に使用されていた労働者(労災則5条)をいい、算定事由発生日に2以上の事業に使用されていない者(令2・8・21基発0821第2号)が該当します。
傷病等の原因または要因となる事由が生じた時期に複数就業していれば、既にいずれかの事業を退職していても、賃金合算の対象になるとしていますので、御社の賃金額等の証明が必要となります。

建設業(2021年11月)

質問

来年の年金制度改革関連法改正で年金受給開始時期も変わるのですか?

回答

老齢年金の受給開始年齢は原則65歳です。
現在は、65歳より後に受給することを選択する「繰下げ受給」で、最大42%増額された年金を生涯受給し続けることができます。また、現行の年金制度では、希望すれば60歳から70歳までの間で自由に受給開始年齢を選択できることになっています。
来年の年金制度改革関連法改正では、「繰下げ受給」を選択できる年齢が70歳までから75歳までに引き上げられます(年金額は最大84%増額)。
高齢期の就労拡大等を踏まえ、高齢者が自身の就労状況等に合わせて年金受給の方法を選択できるよう、繰下げ制度について、より柔軟で使いやすいものとするための見直しとなりました。
この制度改正は、令和4年4月から適用され、令和4年4月1日以降に70歳に到達する方(昭和27年4月2日以降に生まれた方)が対象となります。
なお、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引上げは行われません。

宿泊業(2021年10月)

質問

来年の育児休業者の社会保険料免除要件見直しについて、そのポイントを教えてください。

回答

育児休業取得者の社会保険料免除要件の見直し(令和4年10月改正)
育児休業取得者の保険料免除は、月末時点で育児休業等をしている場合に当月の保険料が免除されます。
そのため、短期間の育児休業等の場合、期間に月末が含まれているか否かによって保険料免除が左右される結果となっています。
改正後は「育児休業等を開始した日の属する月と終了する日の翌日が属する月とが同一で、当該月における育児休業等の日数が14日以上ある場合は当該月の保険料を免除する」取り扱いが新たに設けられます。

■現行制度①
育休中の社会保険料免除については、月末辞典で育休を取得している場合に、当月の保険料が免除される仕組み。したがって、短期間の育休について、月末をまたぐか否かで保険料が免除されるか否かが決まるという不公平が発生。
→見直し内容:育休開始日の属する月については、その月の末尾が育休期間中である場合に加えて、そのげっちゅうに2週間以上の育休を取得した場合にも保険料を免除する。

■現行制度②
賞与月の月末辞典で育休を取得していると、賞与の支払いを受けている場合であっても、賞与保険料が免除されるため、賞与月に育休の取得が多いとの指摘がある。
→見直し内容:短期間の育休取得であるほど、賞与保険料の免除を目的として育休月を選択する誘因が働きやすいため、1か月超の育休取得者に限り、賞与保険料の免除対象とする。

飲食業(2021年9月)

質問

当社で社会保険に加入しているパート従業員が他社での勤務を開始し、そちらでも社会保険の加入要件に該当したとの報告がありました。
二社で勤務する場合の手続と社会保険料の取り扱いについて教えてください。

回答

社会保険において以下に該当した場合、加入が必要となります。
・常時雇用従業員
・週の労働時間が常時雇用従業員の3/4以上の従業員
・従業員501人以上の特定適用事業所(2022年10月以降 は101人以上、2024年10月以降は51人以上)において、短時間勤務者の社会保険加入要件に該当する従業員 ※詳細は2021年6月号に掲載
・常勤役員として報酬がある法人の取締役

複数の事業所で社会保険の加入要件に該当した場合、加入要件を満たしているそれぞれの事業所で資格取得届を提出し、被保険者は所属選択二以上事業所勤務届により、主たる事業所を選択します。主たる事業所の選択方法に決まりはありませんので、被保険者の意思で決定します。

保険料の算出方法については、二以上事業所勤務被保険者標準報酬決定通知書に記載されている報酬月額合計を、主たる事業所の保険料額表にあてはめ被保険者の保険料額を確認します。次に、貴事業所報酬月額を報酬月額合計で除し、按分率を保険料額に乗じて、各事業所の保険料額を算出します。

また、二以上事業所勤務届の提出により、新たに健康保険番号が附番されるため、これまで使用していた被保険者証は使用できなくなりますので、新たに交付された、主たる事業所の被保険者証を使用してください。
健康保険組合では取り扱いが異なる場合がありますので、手続を行う前に、必ず方法等について確認してください。

コロナウイルスの感染拡大や、社会保険適用拡大の影響により、今後二以上勤務者が増加することが想定されます。社会保険への加入は事業主の義務ですので、要件に該当している従業員の手続きが漏れなく行われているか、今一度確認しておきましょう。

証券業(2021年8月)

質問

私傷病により休職していた従業員が退職することになりした。
その従業員から離職票の離職区分は、「特定理由離職者に該当しますよね」と問合せがありました。
休職者が退職する場合の離職票における離職理由の取り扱いについて教えてください。

回答

私傷病等により休職していた従業員の離職票での離職区分については、就業規則により取り扱いが異なります。
就業規則の退職条項に「休職期間満了時に復職できない場合は退職」という趣旨の記載がある場合は自然退職となりますが、退職ではなく「解雇条項」に休職期間満了が定められている場合は会社都合退職となります。

また、休職期間満了以前に従業員から退職の申し出があった場合は、自己都合退職となりますが、特定理由離職者に該当する可能性があります。特定理由離職者は、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者のほかに、正当な理由のある自己都合により退職した者が該当します。
正当な理由のある自己都合退職には、私傷病に関連する項目が含まれており、体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等が挙げられていま。
この特定理由離職者に該当した場合、離職時の年齢や被保険者期間によっては、基本手当の給付日数が多くなる場合がありますが、失業給付を受給するためには病気が治癒しており、働ける状態でなければなりません。
特定理由離職者に該当するかどうかの判断については、受給資格に係る離職理由により公共職業安定所で決定されます。
なお、会社都合退職となる場合、助成金を受給している事業所においては、特定求職者雇用開発助成金やトライアル雇用奨励金な
ど、一部の助成金が一定期間受給できなくなるため注意が必要です。
トラブルを未然に防ぐためにも、離職理由の考え方について、しっかりと把握しておきましょう。

メーカー(2021年7月)

質問

コロナウイルスのワクチン接種が進んでおり、弊社の従業員にも接種券が届き始めました。
ところで、ワクチン接種の翌日は出勤させてもよいのでしょうか。
また、ワクチン接種に関することで注意事項があれば教えてください。

回答

64歳以下の国民へのワクチン接種が始まり、職場や私生活でワクチンに関する情報や、接種の是非について話す機会が増えてきたのではないでしょうか。

ワクチン接種は義務ではなく個人の自由意志であり、本人が納得した上で判断するものです。企業が行うべき対応として定められているものはありませんが、従業員が安心してワクチン接種の機会を確保できるような勤務体制を整えておくことが大切です。

ワクチン接種後は、発熱や倦怠感などの副作用が生じやすいとされているため、接種当日や翌日は休暇を取得することが望ましいといわれています。有給休暇の取得もしくは病気休暇制度などの社内制度の利用はもちろん、新たに特別休暇やワクチン休暇などを導入している企業もあるようです。
しかし、休暇の取得が難しい場合は、肉体労働や高所での業務はなるべく避け、在宅勤務や身体に負担のない業務を割り当てるなど、従業員の負担を少しでも軽減できるように配慮しましょう。
また、ワクチン接種によって発熱があった場合、コロナウイルスの感染による発熱の可能性も考え、解熱後何日後から出社してよいかということも決めておくとよいでしょう。

予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議に記載があるように、ワクチン接種の有無によって差別や不利益な扱いがあってはなりません。
会社へのワクチン接種の報告義務はなく、本人の同意がない状態で接種の有無を把握することはできませんので、休暇取得時などには情報の取り扱いに十分注意しましょう。

現在、ワクチン接種について様々な情報が飛び交っています。
SNSや一部のマスコミでは不安を煽るような情報もありますが、発信源が不明な情報は鵜吞みにせず、公的機関などが発信している科学的根拠に基づいた情報を収集するなど、個々の情報の取捨選択が重要です。

建設業(2021年6月)

質問

当社は屋外での業務が多く、夏季は暑さにより体調を崩す従業員がでることもあります。
業務中に熱中症を発症した場合、労災保険の適用となるのでしょうか。
また、事業主としてどのような対策をすればよいのでしょうか。

回答

熱中症の労災認定は、おおむね一般的認定要件と医学的診断要件により判断されます。

□一般的認定要件
1.業務上の突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
2.当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
3.業務に起因しない他の原因により発病(又は増悪)したものではないこと

□医学的診断要件
1.作業条件及び温湿度条件等の把握
2.一般症状の視診(けいれん、意識障害等)及び体温の測定
3.作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断

また、熱中症においてWBGT値(暑さ指数)を把握しておくことも大切です。WBGT値とは熱中症を予防することを目的とし、体感する気温だけでなく、湿度や日射・輻射など周辺の熱環境も取り入れた指標のことで、環境省の熱中症予防情報サイトに実況と予測指数が掲載されています。このWBGT値を把握することで、どの程度の熱中症対策を講じる必要があるのか、より的確な情報を得ることができます。

これから暑さのピークを迎えますが、マスク生活を余儀なくされている今、マスクの着用により体温が上昇し、熱中症の発症に影響を及ぼすことが考えられます。息苦しさを感じたときや休憩中には周囲の人と十分に距離を保ち、マスクを外すことができる場所の確保も重要です。
また、日々の健康管理や、従業員同士で体調に注意を払うなど、より細やかな対応が求められます。熱中症の症状によっては、救急車を呼ばなければならない状況が出てくるかもしれませんが、コロナウイルスの流行により、受け入れ先が決まるまでに時間がかかることも想定されます。まずは熱中症の発生防止に努め、従業員の健康と安全を守りましょう!

飲食業(2021年5月)

質問

令和4年10月から会社の規模により、段階的に一部のパート・アルバイトにも社会保険の加入が義務付けられると聞きました。
現在、弊社の従業員数は100名を超えていますが、入退社により100名以下となる月があります。社会保険の適用はどのように判断すれば良いのでしょうか。

回答

社会保険の適用拡大は、下記のように企業規模により段階的に行われます。

■対象となる企業
  現在       従業員数 501人以上の企業
  2022年10月~ 従業員数 101人以上の企業
  2024年10月~ 従業員数 51人以上の企業

■従業員数
  従業員数は以下の[A]+[B]の合計 (現在の厚生年金保険の適用対象者)
  A フルタイムの従業員数
  B 週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員数
    ※従業員には、パート・アルバイトを含みます。

従業員数をカウントする際は、厚生年金保険の適用対象者数で判断し、適用対象外の従業員は人数に含めません。
入退社により従業員数の増減があるとのことですが、月ごとに適用対象者をカウントし、直近12ヶ月のうち6ヶ月で基準を上回ると適用対象となります。
なお、適用対象となった後に、被保険者数が100名以下となった場合でも、引き続き適用事業所として取り扱うこととされています。

また、新たに社会保険の加入対象となるのは、以下の条件をすべて満たした方です。

  □ 週の所定労働時間が20時間以上(週の所定労働時間が40時間の企業の場合)
  □ 月額賃金が8.8万円以上(基本給及び諸手当)
  □ 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  □ 学生ではない

従業員にとって社会保険に加入できるかどうかは、安心して働ける職場であるかどうかの判断基準の一つとなり、定着促進の効果が期待できるかもしれません。
適用拡大の対象となる企業は、加入説明など前もっての準備が必要です。

商社(2021年4月)

質問

本年4月より70歳までの雇用が努力義務になったと聞きました。
現在、当社の定年は65歳ですが、とりあえず67歳まで定年延長とした場合、今回の法改正の努力義務を果たしたことになるのでしょうか。

回答

今回の法改正は、70歳への定年引き上げを義務付けるものではありませんが、就業機会(雇用に限定されていません)の確保はあくまでも70歳までを目的としているため、定年を67歳までに引き上げるだけでは不十分です。
定年を67歳までに延長する場合、
・67歳から70歳までの継続雇用制度の導入
・67歳まで希望者全員を対象とする継続雇用制度と、67~70歳まで対象者を限定した継続雇用制度の導入
など、複数の制度を組み合わせる必要があります。

近年の急速な少子高齢化の進行により、高年齢者は社会において重要な戦力となっています。働く意欲がある誰もが年齢に関わりなく能力を十分に発揮できる環境を作るため、高年齢者の健康や意見、ワーク・ライフ・バランスなどを考慮し、対象者ごとに柔軟な働き方を提案することも企業の重要な役割とされてます。
なお、改正法で努力義務として求めているのは、希望する高年齢者が70 歳まで働ける制度の導入であって、個々の労働者の希望に合致した就業条件を提示することまでは求めていませんので、高年齢者と事業主の間で諸条件合意できず、高年齢者本人が措置を拒否したとしても、努力義務は果たされていることになります。

金属部品製造業(H30年2月)

質問

弊社では、ほぼ毎月残業が発生しますので、残業の多い月と少ない月を平均した額を計算し固定残業代として毎月支払っています。
先日、残業時間数などの内訳を明示しないと、これまでのような支払方ができなくなると聞いたのですが、本当でしょうか?

回答

固定残業制を続ける場合は、基本給の額とは別に実際の残業時間数と残業代の計算方法とその金額を明示することが必要です。
例えば、【月給30万円(時間外手当込み)】という文言は、「固定残業代」と「基本給等の額」が区別されていないので不適切となり、【月給25万円、時間外手当5万円】というのも、「基本給等の額」は区別されていますが、「固定残業代」としている5万円の計算根拠となる残業時間数や1時間当たりの賃金額が明記されていないので、これも不適切となります。
「1時間当たりの賃金」は、1ヶ月の平均所定労働時間{(365日-1年間の所定休日日数)×(1日の所定労働時間)}÷12を分母として(月給+各種手当)を割ります。
「残業時間数」は、タイムカードなどにより適切に把握し、固定残業代の基礎となっている労働時間数を超えて残業をした場合は、追加の割増賃金を支払う必要がありますし、その旨を明記しなければなりません。
近年、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが多発しているため、青少年が応募する可能性のある募集または求人について、指針は「固定残業代」に関する適切な表示をするよう定めています。法令に従った適正な管理と計算をすることが労務管理の基本です。

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