労務相談事例集

弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。
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施設管理業(2019年8月)

質問

ビル管理業務における警備員の勤務時間は、午前9時から翌日午前9時までです。休憩時間2時間のほかに仮眠時間が6時間あります。ただし、仮眠時間中であっても警報装置が作動した場合や電話には対応することになっています。
仮眠時間は休憩時間と同じで労働時間ではないので、時間外や深夜の割増賃金を支払っていません。
ところが、入社したばかりの社員から、「仮眠時間も労働時間なので、賃金を支払う必要がある」と請求されたのですが、労働時間なのでしょうか?

回答

仮眠時間は、実際に仕事をしている状態ではありませんが、使用者の指揮命令下にあって、すぐ仕事に取りかかれる状態で、仕事を待っている時間(「手待時間」といいます。)は労働時間に含まれます。
たとえば、販売店のスタッフやタクシーの運転手が客待ちをしている時間がこれにあたります。このように労働者がその時間を自由に使うことができない場合には、使用者の指揮命令下にあるといえますので、通常、労働時間にあたると考えられています。
御社のように、労働者が労働契約に基づき仮眠室において待機すること、そして警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられているときは、実作業に従事していない仮眠時間も含め全体として労働者が使用者の指揮命令下に置かれており、労働時間に含まれることになります。
仮眠時間が労働基準法上の労働時間に該当するかどうかについて最高裁の判決では、「実作業に従事していない仮眠時間(不活動仮眠時間)が労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価できるか否かにより客観的に定まるものというべきである。
不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間にあたるというべきである」とされています。

※ 宿直勤務に就く嘱託員の仮眠時間を休憩時間とみなし、賃金を支払っていなかったとして監督署から是正勧告され、過去2年分(約5300万円)の支払命令を受けた裁判例もあります。

建設業(2019年7月)

質問

会社に無断で社員が休日にアルバイトをしていることが判明しました。
当社の就業規則には「会社の許可なく他に雇用されたときには、懲戒処分とする」との定めがあります。
規則に従って懲戒解雇を考えているのですが、その社員が「今は、副業・兼業をするのは自由だから、懲戒解雇はできない」と言っているのですが、本当ですか?

回答

社員は労働契約を結んでいるのですから、契約内容に従って誠実に労務を提供する義務があります。したがって、兼業をすることにより、本来の労務提供が困難になったり、企業の経営秩序を害したりする場合などは、就業規則の定めに従って懲戒解雇をすることができます。
しかし、職務の遂行に具体的な支障が生じていない場合は、懲戒解雇はできません。
兼業禁止規定に違反してアルバイトをして者に対する解雇を無効とした代表的な裁判例として、十和田運輸事件(東京地裁判決 平13.6.5)があります。『原告らが行った本件アルバイト行為の回数が年に1、2回の程度の限りで認められるにすぎないこと、原告らのこのような行為によって被告の業務に具体的に支障を来したことはなかったことから、原告らが職務専念義務に違反し、あるいは、被告との間の信頼関係を破壊したとまでいうことはできないので、本件各解雇は解雇権の濫用に当たり、無効である。』。
これに対して、解雇を有効とした代表的な裁判例として、小川建設事件(東京地裁判決 昭57.11.19)があります。『本件債権者(労働者)の兼業の職務内容は、債務者(使用者)の就業時間とは重複してはいないものの、軽労働とはいえ毎日の勤務時間は六時間に亙りかつ深夜に及ぶものであって、単なる余暇利用のアルバイトの域を越えるものであり、したがって当該兼業が債務者への労務の誠実な提供に何らかの支障をきたす蓋然性が高いものとみるのが社会一般の通念であり、事前に債務者への申告があった場合には当然に債務者の承諾が得られるとは限らないものであったことからして、本件債権者の無断二重就職行為は不問に付して然るべきものとは認められないので、解雇は有効である。』
これらの裁判例によると、ご相談の社員を解雇できるかどうは、アルバイトを行っていた頻度、アルバイトの内容、本来業務への影響などを詳しく検証する必要がありそうです。

自動車販売業(2019年6月)

質問

仕事の関係上、社員の約半数が営業職で、直行(事前申請)や直帰(電話連絡)も認めています。勤務時間は、事業場外みなし労働時間制を採用しており、所定労働時間(8時間)働いたものとみなして、残業代は支給していません。
事業場外みなし労働時間制を採用することは就業規則に定めてあります。
最近、事業場外みなし労働時間制の是非が取り沙汰されていますが、労務管理上、注意しなければならないことを教えてください。

回答

事業場外みなし労働時間制は、あくまでも「事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いとき」のみに適用されます。したがって、外出先から携帯電話で業務終了のつど上司に報告をする、業務終了後に会社へ戻った場合などは、労働時間の算定が可能なため、事業場外みなし労働時間制は適用されません。
また、具体的な指示を受けて業務を行い、帰社する場合など労働時間の算定が可能なときは事業場外みなし労働時間制の対象となりませんので、営業職のすべてに事業場外みなし労働時間制が適用されるわけではありません。
会社に戻った後に終業時刻以降も仕事を続け残業をする、終業時刻以降に会社に戻って残業をする場合など、その時間は時間外労働になりますので割増賃金の支払が必要となります。そして、みなし労働時間を10時間と決めている場合は、法定労働時間を超えた時間である2時間は時間外労働となりますので、月平均所定労働日数が20日であれば、毎月40時間(2時間×20日)の時間外労働手当を支払わなければなりません。
なお、実時間外労働時間が40時間を超える場合にはその時間に対する時間外労働手当の追加支払いも必要となります。
昨今、事業場外みなし労働が問題となっているのは、実労働時間を把握することなく所定労働時間働いたものとみなすことが、長時間労働を助長し、過労死等の健康侵害を招く恐れが多いからです。営業職の方については、日常的に所定労働時間を超えて仕事をされているようですので、健康管理の観点からも適正な実労働時間を把握し、改善措置を講じることをお勧めします。

介護施設運営(2019年2月)

質問

労働基準法が改正されましたが、それぞれの施行期日とその罰則を教えてください。

回答

改正条項のほとんどが平成31年4月1日からの施行となり、罰則は適用されるものとされないものがあります。

●3ヶ月フレックスタイム制
 施行期日 平成31年4月1日
 罰  則 労使協定の届出違反 30万円以下の罰金

●時間外労働の上限規制に係る規定
 施行期日 平成31年4月1日
 罰  則 上限時間(80時間、100時間)違反 
 6ヶ月以下の懲役又は30円以下の罰金
 経過措置 中小事業主は平成32年4月1日から適用
 適用除外 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務
 適用猶予 工作物の建設等の事業、自動車の運転の業務、医業に従事する医師等
 ※平成36年4月1日から適用

●年次有給休暇
 施行期日 平成31年4月1日
 罰  則 年5日以上取得させなかった使用者に対して、対象1名につき30万円以下の罰金

●割増賃金率の適用
 施行期日 中小事業主は平成 35 年4月1日から適用
 罰  則 6ヶ月以下の懲役又は30円以下の罰金

●労働基準法施行規則の見直し
 施行期日 平成31年4月1日
  ⑴ 労働条件の明示    → 真実を明示すること
  ⑵ 労働条件の明示の方法 → 希望によりmail可
  ⑶ 過半数代表者関係   → 民主的な選出に限る

金属部品製造業(H30年2月)

質問

弊社では、ほぼ毎月残業が発生しますので、残業の多い月と少ない月を平均した額を計算し固定残業代として毎月支払っています。
先日、残業時間数などの内訳を明示しないと、これまでのような支払方ができなくなると聞いたのですが、本当でしょうか?

回答

固定残業制を続ける場合は、基本給の額とは別に実際の残業時間数と残業代の計算方法とその金額を明示することが必要です。
例えば、【月給30万円(時間外手当込み)】という文言は、「固定残業代」と「基本給等の額」が区別されていないので不適切となり、【月給25万円、時間外手当5万円】というのも、「基本給等の額」は区別されていますが、「固定残業代」としている5万円の計算根拠となる残業時間数や1時間当たりの賃金額が明記されていないので、これも不適切となります。
「1時間当たりの賃金」は、1ヶ月の平均所定労働時間{(365日-1年間の所定休日日数)×(1日の所定労働時間)}÷12を分母として(月給+各種手当)を割ります。
「残業時間数」は、タイムカードなどにより適切に把握し、固定残業代の基礎となっている労働時間数を超えて残業をした場合は、追加の割増賃金を支払う必要がありますし、その旨を明記しなければなりません。
近年、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが多発しているため、青少年が応募する可能性のある募集または求人について、指針は「固定残業代」に関する適切な表示をするよう定めています。法令に従った適正な管理と計算をすることが労務管理の基本です。

各種認定資格等