労務相談事例集

弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。
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生花卸売業(2020年12月)

質問

特別条項付きの36協定を締結していますが、新型コロナ感染症関連で、休む従業員が増え、残りの従業員の労働時間が多くなっています。「臨時に限度時間を超えて労働させることができる場合」の内容に、「新型コロナへの対応」は含まれていませんが、特別条項を適用しても問題ないでしょうか。

回答

「特別条項付きの36協定」とは、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)には、限度時間(月 45 時間・年 360 時間)を超えて労働させることができる協定です。

告示では、特別条項の運用について、「当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い、臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合に限り具体的に定めなければならず、「業務の都合上必要な場合」、「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められないことに留意しなければならない。」とされています。
一方で、今般のコロナウイルス感染症の状況については、36協定の締結当時には想定し得ないものであると考えられるため、たとえば、36協定の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」に、繁忙の理由がコロナウイルス感染症とするものであることが、明記されていなくとも、特別条項の理由として認められます。
なお、現在、特別条項を締結していない事業場においては、法定の手続を踏まえて労使の合意を行うことにより、特別条項付きの36協定を締結することが可能です。
ただし、特別条項付きの36協定は、通常の上限時間を超える特別の扱いとなりますので、労働者代表が適正に選出され、全労働者が協定内容を理解していることなどを前提とした労使協定が締結されなければなりません。   
特に労働者代表が適正な手続により選出されているのかどうか、については労基署の関心も高いようです。

レストラン経営(2020年11月)

質問

新型コロナウイルスの影響で売り上げが激減し、今後も回復の見通しが立たないため、やむを得ず有期契約社については、今回の契約期間満了で退職していただくことを検討しています。
注意すべきことがあればお教えください。

回答

使用者から、労働契約の更新をしないことを通告する場合には、有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている契約社員については、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第2条)。
なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨契約書に明示されている場合は除きます。
一方、先に契約社員から労働契約の更新の申込みがあった場合は、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、これまでと同一の労働条件で、その申込みを承諾したものとみなされます(労働契約法第19条)。
① 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの 
② 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの  

使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、少なくとも、その契約期間が満了するまでの間は、労働者を解雇することができないこととされています。有期労働契約の場合は、期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断されますので、注意が必要です。(労働契約法第17条第1項)。

輸入代理店(2020年10月)

質問

社員の被扶養者となっている妻は、病院でパート勤務をしています。
通常は、年収90万円前後ですが、新型コロナウイルス感染症対応業務のため、所定外勤務が多くなっており、本年は年収130円を超えてしまうかもしれない、と相談がありました。
この場合、社会保険の被扶養者からはずさないとならないのでしょうか?

回答

健康保険の被扶養者認定については、年間収入が130万円未満であることが要件の一つです。
この年間収入については、今後1年間の収入を見込んで各保険者が判断することになっており、その認定にあたっては、過去の収入、現時点の収入または、将来の収入の見込みなどを用いて行います。
このため、たとえば、認定時(前回の確認時)には想定していなかった事情により、一時的に収入が増加し、直近3ヶ月の収入を年収に換算すると130万円以上となる場合であっても、今後1年間の収入が130万円未満となると見込まれる場合には、引き続き、被扶養者として認定されるのが原則です。
また、被扶養者認定を受けている方の過去1年間の収入が、昇給または、契約変更による勤務時間の増加を伴わない一時的な事情等により、その1年間のみ上昇し、結果的に130万円以上となった場合においても、原則として、被扶養者認定が遡って取り消されることはありません。
ただし、健康保険組合については、独自の被扶養者認定基準を設けている場合がありますので、被扶養者認定の詳細については、加入している健康保険組合へご相談ください。

旅行代理店(2020年9月)

質問

新型コロナウイルスの影響で売り上げが激減し、今後も回復の見通しが立たないので、やむを得ず現在勤務してもらっている派遣社員の契約を解除したいのですが、労働者派遣法上問題があるでしょうか?

回答

派遣先は、自らの都合により労働者派遣契約を解除する場合には、新たな就業機会の確保や休業手当等の支払に要する費用の負担等の措置を講じなければなりません(労働者派遣法第29条の2)。
また、この措置の内容は、労働者派遣契約に定めることとなっていますが、契約に定めがない場合であっても、労働者派遣法に基づく措置は行う必要があります。
新型コロナウイルス感染症の影響により事業を縮小したこと等に伴う派遣契約の解除であっても、派遣先からの申出により契約の解除を行う場合には、原則として、この措置を講ずる義務があります。
なお、労働者派遣契約の中途解除が派遣先の都合によらないものであっても、派遣先は、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6の⑶に基づき、関連会社での就業をあっせんするなどにより、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要とされています。

派遣会社が雇用調整助成金の支給を受けた場合でも、派遣先において労働者派遣法第29条の2に基づく措置を講ずる必要がなくなるものではありませんが、そのような場合に備えて、休業手当分の費用負担額については、派遣会社と事前に協議された方がよろしいかもしれません。

※ 新型コロナウイルス感染症に伴い労働者派遣契約を解除することに関し、厚生労働省から派遣労働者の雇用維持等について要請がなされています。

精肉業(2020年8月)

質問

保育所に子どもを入所させて復職する予定の社員ですが、市からその保育所への登園自粛の要請を受けたため、当面子どもを保育所に預けないことにしたいと連絡がありました。
こうした場合、育児休業の延長の扱いはどうなるのでしょうか?

回答

対象のお子様が1歳までの場合は、理由を問わず、育児休業の終了予定日の繰下げ変更(最長1歳まで(両親がともに育児休業をする場合、一定の要件を満たせば最長1歳2か月まで)を申し出ることができます(1歳から1歳6か月までの休業、1歳6か月から2歳までの休業それぞれについても同様に繰下げ変更の申出が可能です)。
法令上は1か月前までに申し出ること、1回に限り変更可能であることとなっていますが、御社の規程をもとに労使で十分に話し合ってください。
また、育児休業から一度復帰している場合も、再度の育児休業(最長1歳まで(両親がともに育児休業をする場合、一定の要件を満たせば最長1歳2か月まで))を申し出ることができます。
一方、お子様が1歳または1歳6か月になるときに、引き続き育児休業をしたい場合には、1歳からの休業であれば最長1歳6か月まで、1歳6か月からの休業であれば最長2歳までの育児休業を申し出ることできます。
いずれの場合についても、事業主は労働者からの申出を拒むことはできません。また、雇用保険の育児休業給付金は受給可能です。
なお、健康保険等社会保険の保険料免除につきましては、お子様が満3歳なるまで申請可能です。

建設業(2020年7月)

質問

緊急事態宣言が解除されましたが、また感染者が増加しています。
そこで、当社のコロナ感染防止対策の一つとして、派遣労働者についてもテレワークを実施することを考えています。
労働者派遣法に関して留意すべきことはありますでしょうか?

回答

派遣労働者にテレワークを実施するためには、これまでの事務所等での勤務を前提とする通常の働き方と異なる働き方をすることになります。
よって、派遣契約の内容である就労場所の変更になりますので、派遣会社へ契約変更の申し出を行うことが必要です。また、労働時間の把握・管理方法が変わるのであれば、そのことについても契約変更を行う必要があります。
まだ新型ウイルス感染流行が終息したわけではありませんので、テレワーク勤務について派遣会社と十分に話し合ってください。特にテレワークの場合の派遣労働者に対する御社の指揮命令をどうされるかですが、指揮命令は必ずしも対面で実施しなければならないものではありません。
派遣労働者の業務内容を踏まえ、テレワークによって必要な指揮命令をしながら業務を遂行することが可能かどうか、個別に評価・判断することになります。

【ご参考】
派遣会社および派遣先は、定期的に派遣労働者の就業場所を巡回することとされていますが、これは、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認するためのものです。
派遣労働者に対して自宅やサテライトオフィスでテレワークを実施させるときは、たとえば、電話やメール等により、就業状況を確認することで十分で、派遣労働者の自宅等まで巡回する必要はありません。

証券業(2020年6月)

質問

妊娠中の社員が「電車通勤していると新型コロナ感染が心配なので、休みたい」と言ってきました。
すでに有給休暇はなく、産前休暇は1ヶ月先です。
欠勤控除の対応だけで問題ないでしょうか?

回答

働く妊婦の方は、職場の作業内容等によっては、感染について大きな不安やストレスを抱える場合があります。
感染だけでなく、これによる「不安やストレス」を妊婦の方が回避したいと思うことは理解できます。
また、こうした不安やストレスが、母体または胎児の健康に影響があると、主治医や助産師から指導を受ける場合があります。働く妊婦の方は、その指導内容を事業主に申し出た場合、事業主は、この指導に基づいて必要な措置を講じなければなりません。たとえば、「感染のおそれが低い作業に転換させる」、「在宅勤務や休業など、出勤について制限する」といった措置が考えられます。
主治医等からの指導については、その指導事項を的確に伝えるため「母健連絡カード」というものを作ることになっています。妊婦の方がこの「母健連絡カード」により申出を行った場合、事業主は主治医等の指示に従って、適切な対応をしなければなりません。
もともと、働く妊婦の方は、新型コロナウイルスとは関係なく、主治医等の指導に基づき、妊娠中の通勤緩和や休憩、あるいは妊娠に伴う症状などに応じて妊娠中の作業の制限、勤務時間の短縮、休業等、様々な措置を受けられる可能性があります。なお、テレワークや時差通勤などについては、多様な働き方の一つとして国も進めている働き方です。
主治医等の指導を前提として、申出をした社員の方がどのような働き方を希望しているのか、会社はどのような業務や勤務を用意できるのかなどについて、話し合ってみましょう。

金属部品製造業(H30年2月)

質問

弊社では、ほぼ毎月残業が発生しますので、残業の多い月と少ない月を平均した額を計算し固定残業代として毎月支払っています。
先日、残業時間数などの内訳を明示しないと、これまでのような支払方ができなくなると聞いたのですが、本当でしょうか?

回答

固定残業制を続ける場合は、基本給の額とは別に実際の残業時間数と残業代の計算方法とその金額を明示することが必要です。
例えば、【月給30万円(時間外手当込み)】という文言は、「固定残業代」と「基本給等の額」が区別されていないので不適切となり、【月給25万円、時間外手当5万円】というのも、「基本給等の額」は区別されていますが、「固定残業代」としている5万円の計算根拠となる残業時間数や1時間当たりの賃金額が明記されていないので、これも不適切となります。
「1時間当たりの賃金」は、1ヶ月の平均所定労働時間{(365日-1年間の所定休日日数)×(1日の所定労働時間)}÷12を分母として(月給+各種手当)を割ります。
「残業時間数」は、タイムカードなどにより適切に把握し、固定残業代の基礎となっている労働時間数を超えて残業をした場合は、追加の割増賃金を支払う必要がありますし、その旨を明記しなければなりません。
近年、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが多発しているため、青少年が応募する可能性のある募集または求人について、指針は「固定残業代」に関する適切な表示をするよう定めています。法令に従った適正な管理と計算をすることが労務管理の基本です。

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