労務相談事例集

弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。
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証券業(2021年8月)

質問

私傷病により休職していた従業員が退職することになりした。
その従業員から離職票の離職区分は、「特定理由離職者に該当しますよね」と問合せがありました。
休職者が退職する場合の離職票における離職理由の取り扱いについて教えてください。

回答

私傷病等により休職していた従業員の離職票での離職区分については、就業規則により取り扱いが異なります。
就業規則の退職条項に「休職期間満了時に復職できない場合は退職」という趣旨の記載がある場合は自然退職となりますが、退職ではなく「解雇条項」に休職期間満了が定められている場合は会社都合退職となります。

また、休職期間満了以前に従業員から退職の申し出があった場合は、自己都合退職となりますが、特定理由離職者に該当する可能性があります。特定理由離職者は、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者のほかに、正当な理由のある自己都合により退職した者が該当します。
正当な理由のある自己都合退職には、私傷病に関連する項目が含まれており、体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等が挙げられていま。
この特定理由離職者に該当した場合、離職時の年齢や被保険者期間によっては、基本手当の給付日数が多くなる場合がありますが、失業給付を受給するためには病気が治癒しており、働ける状態でなければなりません。
特定理由離職者に該当するかどうかの判断については、受給資格に係る離職理由により公共職業安定所で決定されます。
なお、会社都合退職となる場合、助成金を受給している事業所においては、特定求職者雇用開発助成金やトライアル雇用奨励金な
ど、一部の助成金が一定期間受給できなくなるため注意が必要です。
トラブルを未然に防ぐためにも、離職理由の考え方について、しっかりと把握しておきましょう。

メーカー(2021年7月)

質問

コロナウイルスのワクチン接種が進んでおり、弊社の従業員にも接種券が届き始めました。
ところで、ワクチン接種の翌日は出勤させてもよいのでしょうか。
また、ワクチン接種に関することで注意事項があれば教えてください。

回答

64歳以下の国民へのワクチン接種が始まり、職場や私生活でワクチンに関する情報や、接種の是非について話す機会が増えてきたのではないでしょうか。

ワクチン接種は義務ではなく個人の自由意志であり、本人が納得した上で判断するものです。企業が行うべき対応として定められているものはありませんが、従業員が安心してワクチン接種の機会を確保できるような勤務体制を整えておくことが大切です。

ワクチン接種後は、発熱や倦怠感などの副作用が生じやすいとされているため、接種当日や翌日は休暇を取得することが望ましいといわれています。有給休暇の取得もしくは病気休暇制度などの社内制度の利用はもちろん、新たに特別休暇やワクチン休暇などを導入している企業もあるようです。
しかし、休暇の取得が難しい場合は、肉体労働や高所での業務はなるべく避け、在宅勤務や身体に負担のない業務を割り当てるなど、従業員の負担を少しでも軽減できるように配慮しましょう。
また、ワクチン接種によって発熱があった場合、コロナウイルスの感染による発熱の可能性も考え、解熱後何日後から出社してよいかということも決めておくとよいでしょう。

予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議に記載があるように、ワクチン接種の有無によって差別や不利益な扱いがあってはなりません。
会社へのワクチン接種の報告義務はなく、本人の同意がない状態で接種の有無を把握することはできませんので、休暇取得時などには情報の取り扱いに十分注意しましょう。

現在、ワクチン接種について様々な情報が飛び交っています。
SNSや一部のマスコミでは不安を煽るような情報もありますが、発信源が不明な情報は鵜吞みにせず、公的機関などが発信している科学的根拠に基づいた情報を収集するなど、個々の情報の取捨選択が重要です。

建設業(2021年6月)

質問

当社は屋外での業務が多く、夏季は暑さにより体調を崩す従業員がでることもあります。
業務中に熱中症を発症した場合、労災保険の適用となるのでしょうか。
また、事業主としてどのような対策をすればよいのでしょうか。

回答

熱中症の労災認定は、おおむね一般的認定要件と医学的診断要件により判断されます。

□一般的認定要件
1.業務上の突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
2.当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
3.業務に起因しない他の原因により発病(又は増悪)したものではないこと

□医学的診断要件
1.作業条件及び温湿度条件等の把握
2.一般症状の視診(けいれん、意識障害等)及び体温の測定
3.作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断

また、熱中症においてWBGT値(暑さ指数)を把握しておくことも大切です。WBGT値とは熱中症を予防することを目的とし、体感する気温だけでなく、湿度や日射・輻射など周辺の熱環境も取り入れた指標のことで、環境省の熱中症予防情報サイトに実況と予測指数が掲載されています。このWBGT値を把握することで、どの程度の熱中症対策を講じる必要があるのか、より的確な情報を得ることができます。

これから暑さのピークを迎えますが、マスク生活を余儀なくされている今、マスクの着用により体温が上昇し、熱中症の発症に影響を及ぼすことが考えられます。息苦しさを感じたときや休憩中には周囲の人と十分に距離を保ち、マスクを外すことができる場所の確保も重要です。
また、日々の健康管理や、従業員同士で体調に注意を払うなど、より細やかな対応が求められます。熱中症の症状によっては、救急車を呼ばなければならない状況が出てくるかもしれませんが、コロナウイルスの流行により、受け入れ先が決まるまでに時間がかかることも想定されます。まずは熱中症の発生防止に努め、従業員の健康と安全を守りましょう!

飲食業(2021年6月)

質問

令和4年10月から会社の規模により、段階的に一部のパート・アルバイトにも社会保険の加入が義務付けられると聞きました。
現在、弊社の従業員数は100名を超えていますが、入退社により100名以下となる月があります。社会保険の適用はどのように判断すれば良いのでしょうか。

回答

社会保険の適用拡大は、下記のように企業規模により段階的に行われます。

■対象となる企業
  現在       従業員数 501人以上の企業
  2022年10月~ 従業員数 101人以上の企業
  2024年10月~ 従業員数 51人以上の企業

■従業員数
  従業員数は以下の[A]+[B]の合計 (現在の厚生年金保険の適用対象者)
  A フルタイムの従業員数
  B 週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員数
    ※従業員には、パート・アルバイトを含みます。

従業員数をカウントする際は、厚生年金保険の適用対象者数で判断し、適用対象外の従業員は人数に含めません。
入退社により従業員数の増減があるとのことですが、月ごとに適用対象者をカウントし、直近12ヶ月のうち6ヶ月で基準を上回ると適用対象となります。
なお、適用対象となった後に、被保険者数が100名以下となった場合でも、引き続き適用事業所として取り扱うこととされています。

また、新たに社会保険の加入対象となるのは、以下の条件をすべて満たした方です。

  □ 週の所定労働時間が20時間以上(週の所定労働時間が40時間の企業の場合)
  □ 月額賃金が8.8万円以上(基本給及び諸手当)
  □ 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  □ 学生ではない

従業員にとって社会保険に加入できるかどうかは、安心して働ける職場であるかどうかの判断基準の一つとなり、定着促進の効果が期待できるかもしれません。
適用拡大の対象となる企業は、加入説明など前もっての準備が必要です。

商社(2021年4月)

質問

本年4月より70歳までの雇用が努力義務になったと聞きました。
現在、当社の定年は65歳ですが、とりあえず67歳まで定年延長とした場合、今回の法改正の努力義務を果たしたことになるのでしょうか。

回答

今回の法改正は、70歳への定年引き上げを義務付けるものではありませんが、就業機会(雇用に限定されていません)の確保はあくまでも70歳までを目的としているため、定年を67歳までに引き上げるだけでは不十分です。
定年を67歳までに延長する場合、
・67歳から70歳までの継続雇用制度の導入
・67歳まで希望者全員を対象とする継続雇用制度と、67~70歳まで対象者を限定した継続雇用制度の導入
など、複数の制度を組み合わせる必要があります。

近年の急速な少子高齢化の進行により、高年齢者は社会において重要な戦力となっています。働く意欲がある誰もが年齢に関わりなく能力を十分に発揮できる環境を作るため、高年齢者の健康や意見、ワーク・ライフ・バランスなどを考慮し、対象者ごとに柔軟な働き方を提案することも企業の重要な役割とされてます。
なお、改正法で努力義務として求めているのは、希望する高年齢者が70 歳まで働ける制度の導入であって、個々の労働者の希望に合致した就業条件を提示することまでは求めていませんので、高年齢者と事業主の間で諸条件合意できず、高年齢者本人が措置を拒否したとしても、努力義務は果たされていることになります。

建設業(2021年3月)

質問

マイナンバーカードが健康保険被保険者証として使用できるようになると聞きました。
今後は、被扶養者に異動があった場合の手続や、限度額適用認定証などの申請手続は不要になるのでしょうか。

回答

2021年3月からマイナンバーカードが健康保険被保険者証として使用できるようになりましたが、マイナンバーカードを使用する場合であっても、従来通り健康保険の被扶養者異動に関する手続は必要です。
一方、高額療養費制度については、限度額適用認定証や限度額認定・標準負担額減額認定証、特定疾病療養受療証を窓口で提出する必要がなくなります。
これまで限度額適用認定証等は事前に申請し、交付手続を行う必要がありましたが、今後は、オンライン資格確認が導入されている医療機関や薬局でマイナンバーカードを提示し、窓口で本人が同意することで限度額適用認定等が適用されます。
また、マイナンバーカードを使用した場合の医療費は、マイナポータルで確認することができ、領収証を管理する必要もなくなります。さらに、確定申告の際に医療費控除をオンラインで手続することができるようになります。
なお、現時点ではマイナンバーカードに対応している医療機関や薬局が少ないため、現在お持ちの健康保険被保険者証が必要な場面も多くあると想定されます。
マイナンバーカードを健康保険被保険者証として使用するためには、会社ではなく被保険者がマイナポータルで申し込み手続をしなければなりません。
申し込み手続はパソコンやスマートフォンから行うことができますが、パソコンやスマートフォンをお持ちでない方は、市区町村にマイナポータルにアクセスすることができる端末が設置されている場合もございますので、お住いの市区町村担当課へお問合せください。

電気工事業(2021年2月)

質問

雇用保険に加入している69歳の従業員が、一身上の都合により退職することになりました。
実は、2年前に退職して、そのときに高年齢求職者給付金を受給しており、再入社した今回は、被保険者期間が10ヶ月しかありません。
再度、高年齢求職者給付金を受給することはできるのでしょうか?

回答

高年齢求職者給付金の受給に必要な被保険者期間は、離職の日以前1年間に、基礎日数が11日以上ある月、または、労働時間が80時間以上ある月が6ヶ月以上となっています。
この高年齢求職者給付金の額は、被保険者期間が1年未満の場合は30日分、1年以上の場合は50日分の一時金が支給されます。

2017年1月の法改正後は、資格要件(週所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用見込があること)を満たせば何度でも雇用保険に加入できますので、高年齢求職者給付金を何度でも受給できることになっています。
なお、ご本人がこのことを理解しており、御社を退職後、再就職することなく、再度御社で雇用されるなど、御社を意図的に利用しているような場合は、「制度の悪用」となる恐れがありますので注意が必要です。

高年齢求職者給付金は、一時金が一括で支給されるため、ハローワークでの手続は初回申込み時のみという点も、ご本人からすればメリットになっているかもしれません。

自動車販売業(2021年1月)

質問

健康保険に加入している社員の妻が離職し、雇用保険の失業給付を受給予定です。雇用保険の失業給付は、非課税ですので税務上は扶養としますが、健康保険についても、社員の被扶養者として、認定されるでしょうか。

回答

健康保険の被扶養者となるためには、以下の収入要件があり、被扶養者認定を受ける方はこれを満たしている必要があります。

1.同居の場合
年間収入130万円未満(※)かつ収入が被保険者の収入  の半分未満であること。
2.別居の場合
年間収入130万円未満(※)かつ収入が被保険者からの仕送り額未満であること。
(※被扶養者認定を受ける方が60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)

この収入には雇用保険の失業給付、公的年金、健康保険の傷病手当金および出産手当金も含まれます。
収入が失業給付のみの場合、基本手当日額が3,611円(130万円÷12ヵ月÷30日)未満であれば、年間収入見込みが130万円未満となり、健康保険の被扶養者とすることができます。一方、失業給付の基本手当日額が3,612円を超える方については、年間収入見込みが130万円以上となりますので、失業給付受給開始までの待期期間は、被扶養者となりますが、基本手当の支給が始まった日をもって、被扶養者削除手続を行うことになります。

なお、健康保険組合によっては被扶養者認定基準や確認資料が異なる場合がありますので、ご加入されている健康保険組合にお問い合わせください。

金属部品製造業(H30年2月)

質問

弊社では、ほぼ毎月残業が発生しますので、残業の多い月と少ない月を平均した額を計算し固定残業代として毎月支払っています。
先日、残業時間数などの内訳を明示しないと、これまでのような支払方ができなくなると聞いたのですが、本当でしょうか?

回答

固定残業制を続ける場合は、基本給の額とは別に実際の残業時間数と残業代の計算方法とその金額を明示することが必要です。
例えば、【月給30万円(時間外手当込み)】という文言は、「固定残業代」と「基本給等の額」が区別されていないので不適切となり、【月給25万円、時間外手当5万円】というのも、「基本給等の額」は区別されていますが、「固定残業代」としている5万円の計算根拠となる残業時間数や1時間当たりの賃金額が明記されていないので、これも不適切となります。
「1時間当たりの賃金」は、1ヶ月の平均所定労働時間{(365日-1年間の所定休日日数)×(1日の所定労働時間)}÷12を分母として(月給+各種手当)を割ります。
「残業時間数」は、タイムカードなどにより適切に把握し、固定残業代の基礎となっている労働時間数を超えて残業をした場合は、追加の割増賃金を支払う必要がありますし、その旨を明記しなければなりません。
近年、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが多発しているため、青少年が応募する可能性のある募集または求人について、指針は「固定残業代」に関する適切な表示をするよう定めています。法令に従った適正な管理と計算をすることが労務管理の基本です。

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