労務相談事例集
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採用面接での注意事項、配慮すべき事項(2026年5月分)
- 質問
業界の会合で、他社の担当者から「面接で不適切な質問をしたとSNSで炎上し大変だった」という話を聞きました。
採用面接をする際に注意すべきことを教えてください。【卸売業】- 回答
他社でのSNS炎上は、決して他人事ではない重大な経営リスクです。
スマートフォンとSNSが普及した現在、面接官の「一言」はその日のうちに世間へ拡散される可能性があります。1. なぜ「不適切な質問」が炎上するのか
応募者は面接後すぐに「こんな質問をされた」と発信できます。職務遂行の適性や能力に直接関係のない質問(本籍地、家族の職業、思想信条、結婚・出産の予定など)は、「人権意識の低い企業」として社会から厳しい批判を浴び、内定辞退やブランドイメージの失墜、不買運動にまで発展します。2. 面接での3大注意ポイント
* 「アイスブレイク(雑談)」の罠:緊張をほぐすための「地元はどちら?」「親御さんのお仕事は?」という世間話が、最も違反を犯しやすいポイントです。
* 「適性と能力」に関係ない質問:支持政党、宗教、愛読書、座右の銘などは個人の自由(思想・信条)に属するため、質問自体がNGです。
* 女性への質問(ジェンダーハラスメント):「結婚・出産の予定は?」など、女性にのみ行う質問は男女雇用機会均等法違反です。3. 今すぐ取り組むべき予防策
* 面接シートの作成:その場の思いつきで質問せず、事前に決めた質問項目(職務経験や志望動機など)に沿って進めます。
* 面接官への事前研修:「昔の感覚」のまま面接に臨むのが最も危険です。最新のNG基準を必ず共有してください。面接は企業が選ぶ場であると同時に、「社会から評価される場」でもあります。一人ひとりが会社の看板を背負っているという意識を持つことが重要です。
引用:厚生労働省「公正な採用選考を目指して」
従業員の給与振込口座を会社が指定してもよいか。(2026年4月)
- 質問
給与振込に使用する銀行口座について、当法人が指定する銀行・支店に統一したいと考えています。このように会社側が振込先の銀行や支店を指定することは、法律上問題ありませんか。
- 回答
労働基準法では、賃金の支払方法について、
① 通貨払い ② 直接払い ③全額払い ④毎月1回以上払い ⑤一定期日払い
の5つの原則を定めています。(労働基準法第24条)法律上は原則として、賃金は会社から労働者へ「通貨(現金)で直接手渡し」することとされており、例外として、厚生労働省令で定める「確実な支払の方法」による場合は別の支払い方法も認められています。
【労基法施行規則 第7条の2】抜粋
使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。
~当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み~つまり、賃金を口座振込にするには、労働者の同意を得ることを条件に、労働者が指定する銀行その他金融機関の本人名義の預金口座への振込みであれば、支払方法として認められることになります。
したがって、会社が特定の銀行・支店を指定したい場合は、あくまでも従業員に「お願い」する形となり、必ず従業員の同意を得る必要があります。同意が得られなければ、会社は一方的に特定の口座を指定することはできません。
なお、この同意については、労働者本人の意思に基づくものであれば、その形式は特に問われていません。また、労働者が本人名義の預金口座を指定していれば、同意が得られているものと解されています。出典 厚生労働省労働基準局編『労働基準法(上)』
退職者に賞与を支給する場合、社会保険料はどうなる?(2026年3月)
- 質問
当社は運輸業を営んでおり、3月20日に期末賞与を支給する予定です。15日付で退職する従業員が1名おりますが、支給日に在籍しない退職者にも支給したいと考えております。この場合の社会保険料控除(健康保険・厚生年金保険)はどのように取り扱うのが正しいでしょうか。【運輸・物流業】
- 回答
賞与に対する社会保険料は、原則として支給する賞与から控除できますが、退職月に支給する賞与については、月末退職の場合を除き、社会保険料の控除対象となりません。
したがって、3月20日に支給される期末賞与についても、15日付で退職する従業員については、健康保険料・厚生年金保険料の控除は不要です。
一方で、月末退職者の場合は資格喪失日が翌月1日となるため、賞与からの保険料控除が必要となりますのでご注意ください。■具体例(賞与支給日:3月20日)
①3月30日に退職
・資格喪失日:3月31日
・保険料発生:2月まで
→3月の賞与に社会保険料はかからない
②3月31日に退職
・資格喪失日:4月1日
・保険料発生:3月まで
→賞与からの社会保険料の控除が必要
勤務間インターバル制度(2026年2月)
- 質問
勤務間インターバル制度の導入が義務化される予定と聞きました。
休息時間を確保する制度であることは理解していますが、翌日の始業時刻と終業時刻を繰り下げると、時間外勤務をさせた場合、通常勤務に戻すことが難しいのでは?と心配しています。当社は、変形労働時間制を導入していません。どのように運用したらよいのでしょうか。(Web制作会社)- 回答
勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻までに、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保し、従業員の生活時間・睡眠時間を守ることを目的とした制度です。現時点では努力義務ですが、今後の義務化が予定されています。
インターバル時間は、企業が自主的に設定して運用することになりますが、11時間以上が望ましいとされています。例えば、所定労働時間が「8時から17時(休憩1時間)」の場合、インターバル時間を11時間とすると、21時までに仕事を終了しなければ翌日の8時始業に間に合いません。
そのため、以下のような運用方法が考えられます。■勤務間インターバル制度の主な運用方法
①勤務時刻を繰り下げる
インターバル時間が確保できない場合、翌日の始業時刻を後ろ倒しにします
②一定時刻以降の残業を禁止する
インターバル時間を確保できるよう、残業の上限時刻を設定します
③ インターバル適用日の時間外勤務を認めない
インターバルを適用した日は、終業後の追加残業を禁止することで、勤務時間を通常に戻しやすくします
④ 連続適用日数に制限を設ける
連続して勤務時刻が繰り下がることを防ぎ、勤務パターンが固定化しないようにします■インターバル制度の導入例
【例1】インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を「働いたもの」とみなす方式
・所定:8時~17時
・インターバル時間の不足により、始業時刻の8時から10時までは勤務扱いとし、終業は17時とする【例2】インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を「勤務時刻の繰り下げ」で対応する方式
・始業を10時、終業を19時に繰り下げる。【参考資料】厚生労働省パンフレット
夫の海外赴任に同行 厚生年金は継続される?妻の第3号資格は…?(2026年1月)
- 質問
当社従業員をアメリカの子会社に赴任させることになりました。従業員の被扶養者である配偶者(妻)も同行します。妻は国民年金第3号被保険者ですが、この資格は継続されるのでしょうか。【商社】
- 回答
社会保険は適用事業所に勤務する限り、国内居住の有無を問わず加入します。よって従業員(夫)の厚生年金保険の資格は継続します。
一方、令和2年4月の制度改正により、被扶養者(国民年金第3号被保険者を含む)の認定には、生計維持要件に加えて、「日本国内に住所を有すること(住民票があること)」が原則として必要になりました。
ただし、次のいずれかに該当し、日本国内に生活の基礎があると認められる場合には、国内居住要件の例外(海外特例要件)として扱われ、「海外特例要件該当届」を提出することにより、被扶養者の認定を受けることが可能となります。■国内居住要件の例外(海外特例要件)
(1) 外国において留学する学生
(2) 外国に赴任する被保険者に同行する者
(3) 観光、保養またはボランティア活動など、就労以外の目的で一時的に海外渡航する者
(4) 被保険者の外国赴任中に身分関係が生じ、上記(2)と同等と認められる者
(5) (1)から(4)までに掲げる者のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活
の基礎があると認められる者ご質問のケースは、上記(2)「外国に赴任する被保険者に同行する者」に該当しますので、海外特例要件該当届を提出することにより、国民年金第3号の被保険者資格は継続されます。
■届出に必要な添付書類例
・査証(ビザ)
・海外赴任辞令
・海外の公的機関が発行する居住証明書の写し などまた、海外特例要件に該当する時点で、改めて「被扶養者であること」の確認が必要となります。詳しくは、貴社が加入されている医療保険者にご確認ください。
解雇と退職勧奨の違いとは?(2025年12月)
- 質問
勤務態度が悪く、何度か注意・指導しているものの、一向に改善されない従業員がいて困っています。会社としては、出来るだけ早期に『解雇』したいと考えていますが、想定されるリスクがあれば教えてください。 【小売業】
- 回答
日本の労働法(労働契約法第16条)では、『解雇』は「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」がなければ無効とされます。元従業員から解雇無効の訴訟を起こされた場合、勤務態度の悪さだけでは、よほどの証拠や改善指導の履歴がない限り、正当な解雇理由と認められにくいのが現実です。
■解雇が無効と判断された場合
・労働審判や裁判に時間や費用がかかります。
・労働契約は当初から継続していたものと見なされ、会社は従業員の職場復帰を認めなければなりません。
・解雇から判決までの未払賃金の支払い、慰謝料や損害賠償などが発生する可能性があります。
・社内外の評判に悪影響を及ぼす可能性があります。『解雇』は会社側が一方的に労働契約を解消する行為であるため、後に従業員から不当解雇として訴えられるケースも少なくありません。こうしたリスクを回避するためには、まず『退職勧奨』による合意退職を目指すことが望ましいといえます。
■解雇と退職勧奨の違い
<解雇>
意思決定:会社が一方的に雇用契約を終了させる
法定性質:強制的な契約終了(労働契約法第16条により厳格な制限あり)
リスク:不当解雇と判断されると、損害賠償や復職命令の可能性あり
社員の同意:不要(ただし正当な理由が必要)<退職勧奨>
意思決定:会社が従業員に退職を促すが、最終的な判断は社員に委ねる
法定性質:合意による契約終了(退職勧届の提出が必要)
リスク:合意退職なので法的リスクは比較的低い
社員の同意:必要(従業員が退職届を提出する)※退職勧奨を行う際の注意点
「退職に応じなければ給与を減額する」「退職しない場合は地方へ転勤させる」「退職しなければ解雇しか選択肢はない」など、退職を目的として従業員に不当な待遇を押しつける行為は、『強制的な退職勧奨』とみなされ、違法となる可能性があります。
『退職勧奨』は、あくまでも従業員の“自主的な”退職を促すものであり、その意思を尊重することが原則です。手続きにあたっては、パワハラと受け取られないよう、慎重かつ丁寧に対応することが求められます。
業務中に悪化した持病は労災になる?(2025年11月)
- 質問
当社は年1回新商品の展示会を開催しています。展示会準備中、社員が段ボールを持ち上げようとしたところ、予想以上に重く、腰をかばって無理な体勢で持ちこたえる形になりました。その結果、腰に急激な痛みを訴え、医師から「椎間板ヘルニア」と診断されました。
なお、当該社員は、慢性的な腰痛を抱えていましたが、このような場合でも労災補償の 対象になるのでしょうか?【販売業】- 回答
慢性腰痛の既往があっても、業務中の突発的な力の作用で症状が急激に悪化した場合は、労災補償の対象となることがあります。
■労災補償の対象となるかの判断基準(厚生労働省「業務上腰痛の認定基準」より)
厚生労働省は腰痛を以下の2つに分類し、それぞれに認定要件を定めています。
1 災害性の原因による腰痛
負傷などによる腰痛で、次の要件をどちらも満たすもの
•腰の負傷またはその負傷の要因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来
事によって生じたと明らかに認められること
•腰に作用した力が腰痛を発症させた、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化
させたと医学的に認められること2 災害性の原因によらない腰痛
•突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかか
る仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、作業の状態や作業期間などからみて、
仕事が原因で発症したと認められるもの今回の事例では、「予想以上に重い段ボールを持ち上げようとして無理な体勢になった」という突発的な出来事によって急激な痛みが発症しているため、1の「災害性の原因による腰痛」の要件に該当する可能性が高いといえます。
■椎間板ヘルニアと既往症の扱い
椎間板ヘルニアなどの既往症または基礎疾患のある労働者が、仕事により、その疾病が再発したり、重症化したりした場合は、その前の状態に回復させるための治療に限り労災補償の対象になります。
治療内容に一部制限がありますが、既往症があっても業務中の突発的な負傷による悪化は労災補償の対象となる可能性があります。日々の業務での安全配慮と、発症時の正確な記録が重要です。
出展 厚生労働省「業務上腰痛の認定基準」より
試用期間における注意点(2025年10月)
- 質問
求人への応募があり、採用に向けて準備を進めています。応募者の資格や経歴、面接時の印象等には問題は見受けられませんが、3か月の試用期間を設けることはできますか。注意すべき点、試用期間の延長、契約を終了させる場合の対応についても教えてください。 【不動産業】
- 回答
試用期間の設定は可能です。
試用期間の目的や条件は採用時に明確に説明し、下記①~⑤については就業規則または雇用契約書へ明記しておくことがトラブル防止に有効です。試用期間は会社、労働者の双方が相互の適正を見極めるための重要な期間です。試用期間中であっても雇用契約は成立しており、労働基準法が適用される点にご留意ください。①試用期間の長さ
試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれることから、その適性を判断するのに必要とされる合理的な期間を超えた長期の試用期間は公序良俗に反し、無効と判断される可能性があります。一般的には3〜6ヶ月程度が妥当とされています。②労働条件
社会保険への加入(要件を満たす場合)、有給休暇も入社日から起算されます。
勤怠管理等、労務管理も試用期間中から適切に行う必要があります。③本採用の判断項目(参考)
●勤怠状況・勤務態度:遅刻・欠勤の有無、業務中の態度、言葉使いや礼儀
●業務遂行能力:専門知識量、指示理解力、作業スピード、正確性、成果物の質
●コミュニケーション能力:上司・同僚・顧客とのやりとり、報告・連絡・相談の適切さ
●協調性・適合性・柔軟性:他者との連携、協力姿勢、職場・社風への適合、変化への対応
●責任感・主体性:積極性、責任感、行動の一貫性
●学習意欲・改善力:新しい知識の吸収、フィードバックへの対応④試用期間の延長
試用期間の延長を行う場合は、あらかじめ就業規則等で延長の上限を設定し、延長期間後6か月以内には本採用の可否を決定するのが妥当です。延長には業務遂行能力の判断が困難な場合や労働者の病気・欠勤などで評価ができない場合など、合理的な理由が必要です。労働者へは書面で通知し、同意を取得しておくことが望ましいとされています。⑤契約を終了(本採用拒否)する場合
試用期間における契約終了(本採用拒否)は通常の場合よりも広い範囲で解約権の行使が認められるものの、その趣旨・目的に照らし、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当とされる場合に限り認められます。試用期間延長後に採用を見送る場合も「解雇」として扱われます。解雇は「能力不足」「勤務態度が悪い」などの理由だけでは不十分で、指導や改善の機会を与えたかどうかも重要です。試用期間開始から14日を超えて勤務している場合は30日前の解雇予告または予告手当の支払いが必要です。
過半数代表者の選任 注意点(2025年9月)
- 質問
パート社員の増加に伴いパートタイマー就業規則を制定しようと考えています。労働者代表を選出して意見を聴く際、(当社は労働組合なし)パートタイム労働者を対象とした規則でも、正社員から労働者代表を選出して問題ないでしょうか。また、選出された労働者代表が退職した場合は、すぐに新しい労働者代表を選出する必要がありますか?【販売業】
- 回答
就業規則の意見聴取(労働基準法第90条)における「労働者代表」は、事業場の全労働者の過半数を代表する者である必要があります。この「労働者」には、正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員なども含まれます。民主的な方法により、正社員以外の労働者も含めた全労働者の過半数を代表する立場であれば、正社員以外にも法的効力が生じます。したがって、パートタイム就業規則であっても、正社員から代表を選んで差し支えありません。
また、選出された労働者代表が退職した場合でも、既に提出された就業規則の意見書や締結済みの労使協定は有効とされます。次回の就業規則の作成・変更や協定締結の際には、改めて労働者代表選出してください。■労働者代表選出の民主的な方法とは
【投票方式】候補者を募り、全労働者による投票で選出
【挙手方式】全員が集まる場で、挙手により選出
【労働者の話合い方式】会議等で議論し、合意の上で選出
【持ち回り決議方式】書面を回覧し過半数の同意を得て選出注意点:使用者(会社側)からの指名や、管理監督者が労働者代表になることは認められません。
■参考
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査(2018年)によると、代表者の選出方法は以下の通りです。(調査対象:6,458事業所)30.9%・・・投票や挙手
22.0%・・・信任
17.9%・・・話し合い
6.2% ・・・親睦会の代表者等、特定の者が自動的になる
21.4%・・・使用者(事業主や会社)が氏名
0.3% ・・・その他
1.3% ・・・無回答
調査からもわかるように、実際は、適正な選出がされていないケースも見受けられます。労働者代表を適正に選出することにより、法的効力を持つだけでなく、従業員の信頼にもつながります。また、労働者代表の選出方法が不適切での場合、36協定の締結自体が無効とされる可能性もありますのでご注意ください。
退職予定者への新規有給休暇付与(2025年8月)
- 質問
10月末に退職予定の社員から、保有している年次有給休暇を退職日までにすべて消化したいとの申し出がありました。
この社員には、9月に新たな年次有給休暇の付与が予定されていますが、すでに退職することが決まっている場合でも、付与する必要があるのでしょうか?新たに付与された分と前年の未取得分を合わせると、残日数は30日となります。
引継ぎ業務を確実に行ってもらうためにも、本人の申請通りに有給休暇を取得させないという対応は、問題がありますか。【広告業】- 回答
退職予定者であっても、年次有給休暇の付与要件を満たしている場合には、労働基準法に基づき所定の日数を付与する必要があります。
【年次有給休暇の付与要件】(労働基準法第39条)
・雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、最低10日の有給休暇を与えなければならない。(第1項)
・6か月以上継続勤務した労働者には、雇入れ後6か月経過日から起算して、継続勤務年数1年ごとに、継続勤務年数の区分に応じた日数の有給休暇を与えなければならない。(第2項)【時季変更権の制限】
労働基準法では、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社は、有給休暇の取得時季を変更することが認められています。しかし、退職日が確定している社員に対しては、他の日に有給休暇を与えることができないため、時季変更権の行使は認められていません。社員には有給休暇を取得する権利があり、申請があれば、会社はこれに応じる義務があります。なお、社員が申請せず、退職日までに有給休暇を消化しきれなかった場合は、未消化分の有給休暇は消滅します。社員から「保有している有給休暇を買い取ってほしい」との申し出があることもありますが、会社には買い取る義務はありません。
ご相談のように、退職予定者が有給休暇の消化によって出勤日が減り、十分な引継ぎが困難になる場合には、会社が有給休暇の一部を買い取ることを条件に引継ぎへの協力を依頼、交渉するなど、柔軟な対応を検討することが考えられます。