事務所だより 平成28年10月号

心の健康問題! 職場づくりのキーマン その3 「休職規程の整備・見直し」

メンタルヘルスにおける第三次予防対策 !

 

メンタルヘルスにおける第三次予防の対策の一つとして休職規程の整備・見直しがあります。なお、休職に関する規程の整備は、メンタルヘルス不調の対策にだけ必要なわけではありません。たとえば、会社の階段で躓いて転倒する、歩道を歩いていて自転車とぶつかる、デング熱など感染性疾病に罹患するなど、さまざまな危険に遭遇する可能性があるからです。

もしも会社を休まなければならなくなった場合には、どれだけの期間休んでいられるのか、給料はどうなるのか、身分はどうなるのか、回復できなかったらどうなるのかなど、社員が精神的にも不安定な状態に陥ることになります。
私傷病による休職は、雇用契約の主旨からすれば、労務が提供できなくなった時点で、その雇用契約は成り立たなくなります。しかし、その能力を評価・期待して採用した社員ですし、これまで会社に貢献してくれた社員でもあるでしょう。また、定年に至るまでの長い時間の中の一時期のことに過ぎない、という考え方もあります。
したがって、休職の手続、休職期間中の面談や報告などに関する手続、復職面談や職場復帰後の支援などの手続を休職規程によりあらかじめ明確にしておき、社員が安心して治療に専念できる環境を用意しておくことは、社員にとっては安心感、会社に対する信頼感を育み、会社にとっては引き続き能力の発揮を期待できる社員を確保しておくという相互のメリットがあるということになります。

 

判例1:休職の要件・効果

 

判例では、休職制度を、その目的、機能、合理性、労働者が受ける不利益の内容等を勘案して、就業規則の合理的解釈という手法で解釈しています。そして傷病休職については、期間満了の翌日等一定の日に雇用契約が自動的に終了すること、これを明確に就業規則に定めて明示し、かつ、その運用を規則どおり実施し、利絵外的な運用や裁量がなされていないならば、定年と同じように終期の到来による労働契約の終了となり「解雇の問題は生じない」としています。
(S27.7.25 基収 1628号通達、同旨東京地裁 S30.90.23 電機学園事件)

 

判例2:休職を命ずることの可否

 

労働者が出勤を求めているのに、企業が休職を命じることがありますが、休職命令の有効性は、労働者が真に労務を提供できない健康状態にあるか否かによって決められます。休職命令が有効な場合は、終業規則等で別段の定め(休職期間中でも賃金を支払うなど)がない限り、休職期間中の賃金は請求できません。これに対し、休職命令が違法である場合は、賃金請求を失わないことになります。
(民法536条2項)

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