事務所だより 2025年8月号
「振替休日」と「代休」の違いについて
働き方改革の推進や勤務形態の多様化に伴い、企業における休日の管理がより一層重要視されるようになっています。特に労務管理の現場では、「振替休日」と「代休」の違いを正しく理解していないことで、賃金未払いや労働基準法違反などのコンプラアインス上のリスクが生じる可能性があります。そのため、2つの制度的な違いと運用上の注意点をしっかりと把握しておくことが重要です。
本号では、この2つの違いや注意点について、わかりやすく解説します。
1. 振替休日とは?
振替休日とは、本来の休日に勤務させる代わりに、あらかじめ他の日を休日として指定することです。
【ポイント】
• 振替休日は、「事前」に休日と労働日を入れ替えることが前提
• 振替した休日は「平日扱い」となり、割増賃金(休日出勤手当)は不要
• 逆に、振替によって休日となった日は「法定休日」として扱われる
• 就業規則等において振替を行うことがある旨の根拠規定が必要
2. 代休とは?
代休とは、休日に実際に労働した後にその代償として別の日に与えられる休暇です。
しかし、法律で取得が義務付けられているものではありません。そのため、労働者が代休を取らなくても問題ありません。
ただし、労働基準法35条では週に1日もしくは4週に4日の法定休日を与えることについて定めているため、代休を取らないことによって法定休日を下回る場合は労働基準法違反となります。
【ポイント】
•代休は「事後対応」
•休日出勤をした日はあくまで休日に働いたとみなされ、割増賃金が発生
•代休を与えても、支払うべき割増賃金は減額できない
•就業規則等に休日労働を行わせることがあることについて規定する必要があり、36協定を結んでおく必要がある
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