事務所だより 平成29年9月号
職場の安全衛生管理 【送検事例から学ぶチェックポイント】 送検された司法事件 ?!
平成28年4月から平成29年3月までの1年間に東京地方検察庁へ送検された司法事件は50件あり、労働基準法に関する違反が29件(うち労働時間・休日に関する違反7件)、労働安全衛生法に関する違反が21件(うち死亡災害を契機とした危険防止措置義務違反に関する違反12件)となっています。
また、平成27年度は63件の送検のうち、労働基準法関係違反が41件で、労働時間・休日に関する違反は19件、26年度は54件の送検のうち、労働基準法関係違反が31件で、労働時間・休日に関する違反は4件でした。なお、この年度では労災隠しについて11件が東京地方検察庁へ送検されています。
一方、長時間労働が心身に及ぼす影響と労災補償の関連をみると、平成28年度の「脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」では支給決定件数が260件で、うち、時間外労働時間別(1ヶ月または2~6ヶ月における1ヶ月平均)支給決定件数は、「80時間以上~100時間未満」が106件と最も多く、「100時間以上」の合計件数は128件となっています。
「精神障害に関する事案の労災補償状況」では支給決定件数は498件(自殺84件)で、 時間外労働時間別(1ヶ月平均)支給決定件数は、「20時間未満」が84件で最も多く、「160時間以上」が52件となっています。精神障害については、労働時間よりも、各種ハラスメントなどが要因となっているような結果となっています。
最近は、違法な長時間労働による過労自殺事件もあり、ブラック企業という言葉は広く認知され、違法な労働条件、特に違法な長時間労働時間は許さないという気運も高まり、劣悪な労働環境を強いる企業への風当たりは厳しくなっています。
このような社会的背景もあり、労働基準監督署では随時立ち入り調査を実施し、違法な長時間労働を確認した場合には是正活動を行っています。そして、違法な長時間労働を恒常的に行っている、速やかに是正改善を行わない、小手先の対応に終始し違反を繰り返すなどの重大・悪質な事案に対しては司法事件としての取り組みを強化しています。
急傾斜地崩壊防止工事現場において死亡災害を発生させた事業者を書類送検!!
足場ステージの端ートル墜落して死亡
青海労働基準監督署は、平成28年9月2日、法面工事を請け負う法人及び同社所属の職長を、労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁立川支部に書類送検した。
・・・・・つり上げていた単管が落下し、落下した単管に当たった労働者が、足場ステージの端から約17メートル下の足場ステージに墜落志望したもの。
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