事務所だより 2024年12月号
労働契約法を再確認!
労働契約法とは?
労働契約法は、2008年に施行された労働契約の内容の決定および変更に関する民事的なルール等を一つの体系としてまとめた法律であり、労働者の権利を保護しつつ、また使用者とのトラブルを防ぐための基本的な枠組みを定義しています。そして、この法律の目的は、労働市場での公平性を確保し、双方が安心して働ける環境をつくることにあります。
労働契約法を大きく分類すると下記の4つに区分されます。
1. 労働契約の内容の理解の促進
2. 労働契約の変更・改定
3. 解雇に関する規定
4. 有期労働契約と無期労働契約
労働契約法制定の背景
就業形態の多様化に伴い、労働者の労働条件が個別に決定・変更されるケースが増加するとともに、個別労働関係紛争が増加していることから、法整備が行われてきました。2001年に個別労働関係紛争解決制度、2006年に労働審判制度が施行されるなど、手続面における整備が進んできましたが、労働基準法は、主に労働条件の最低基準を定めるにとどまっています。また、個別労働関係紛争を解決するための労働契約に関する民事的なルールについては、民法および個別の法律において部分的に規定されており、体系的な成文法がありませんでした。そのため、労働者と使用者との間の「契約関係」を明確にするとともに、労働者の保護と労働関係の安定のために、労働契約法が制定されました。
参考:公法と私法
「労働基準法」と「労働安全衛生法」は、「公法」(国家と私人との関係を規律する法律)ですが、労働契約法は「私法」(私人間の関係を規律する法律)で民法と同じです。公法と異なり、私法には罰則規定がありませんので、法に抵触して訴えられた場合には、裁判で争うことになります。
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