事務所だより 2023年8月号
モデル就業規則が変更! ~退職金規定例~
勤続期間を支給要件としない !? 新規定例
厚生労働省が「モデル就業規則」(令和5年7月版)を公表しました。主な変更点は退職金の支給に関する部分で、一定期間の勤続年数を支給要件としていた例を削除しています。これはいわゆる「骨太の方針2023」を受けてのもので、成長分野への労働移動の実現を目指す意図があるようです。
変更点は ?
(退職金の支給)
第○条 労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金
を支給する。ただし、第○条第○項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又
は一部を支給しないことがある。
2 継続雇用制度の対象者については定年時に退職金を支給することとし、その後の再雇用期間については退職金を支給しない。
従来版は以下のような記載になっていました。
勤続〇年以上の労働者が退職しまたは解雇されたときに、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続〇年未満の者には退職金を支給しない。
日本では終身雇用制度が定着し、従業員は最初に就職した企業で働き続けることを善しとしてきたため、退職金制度も勤続年数に比例して支給する内容がほとんどでした。
過去、退職金ポイント制度や前払退職金制度など、新しい退職金制度へ変更した企業がありますが、まだまだ勤続年数比例型の退職金制度を運用している企業が多いため、これが人材の流動性を阻害する1つの要因になっているとして、年数による条文を削除することになったようです。
なお、モデル例には留意事項が記載されており、「退職金制度は必ず設けなければならないものではないが、設けたときは、適用される労働者の範囲、退職金の支給要件、額の計算および支払いの方法、支払いの時期などを就業規則に記載しなければならない」となっています。