労務相談事例集

弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。弊所に寄せられたご相談をピックアップしました。
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試用期間における注意点(2025年10月)

質問

求人への応募があり、採用に向けて準備を進めています。応募者の資格や経歴、面接時の印象等には問題は見受けられませんが、3か月の試用期間を設けることはできますか。注意すべき点、試用期間の延長、契約を終了させる場合の対応についても教えてください。 【不動産業】

回答

試用期間の設定は可能です。
試用期間の目的や条件は採用時に明確に説明し、下記①~⑤については就業規則または雇用契約書へ明記しておくことがトラブル防止に有効です。試用期間は会社、労働者の双方が相互の適正を見極めるための重要な期間です。試用期間中であっても雇用契約は成立しており、労働基準法が適用される点にご留意ください。

①試用期間の長さ
 試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれることから、その適性を判断するのに必要とされる合理的な期間を超えた長期の試用期間は公序良俗に反し、無効と判断される可能性があります。一般的には3〜6ヶ月程度が妥当とされています。

②労働条件
 社会保険への加入(要件を満たす場合)、有給休暇も入社日から起算されます。
 勤怠管理等、労務管理も試用期間中から適切に行う必要があります。

③本採用の判断項目(参考)

 ●勤怠状況・勤務態度:遅刻・欠勤の有無、業務中の態度、言葉使いや礼儀
 ●業務遂行能力:専門知識量、指示理解力、作業スピード、正確性、成果物の質
 ●コミュニケーション能力:上司・同僚・顧客とのやりとり、報告・連絡・相談の適切さ
 ●協調性・適合性・柔軟性:他者との連携、協力姿勢、職場・社風への適合、変化への対応
 ●責任感・主体性:積極性、責任感、行動の一貫性
 ●学習意欲・改善力:新しい知識の吸収、フィードバックへの対応

④試用期間の延長
 試用期間の延長を行う場合は、あらかじめ就業規則等で延長の上限を設定し、延長期間後6か月以内には本採用の可否を決定するのが妥当です。延長には業務遂行能力の判断が困難な場合や労働者の病気・欠勤などで評価ができない場合など、合理的な理由が必要です。労働者へは書面で通知し、同意を取得しておくことが望ましいとされています。

⑤契約を終了(本採用拒否)する場合
 試用期間における契約終了(本採用拒否)は通常の場合よりも広い範囲で解約権の行使が認められるものの、その趣旨・目的に照らし、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当とされる場合に限り認められます。試用期間延長後に採用を見送る場合も「解雇」として扱われます。解雇は「能力不足」「勤務態度が悪い」などの理由だけでは不十分で、指導や改善の機会を与えたかどうかも重要です。試用期間開始から14日を超えて勤務している場合は30日前の解雇予告または予告手当の支払いが必要です。

過半数代表者の選任 注意点(2025年9月)

質問

パート社員の増加に伴いパートタイマー就業規則を制定しようと考えています。労働者代表を選出して意見を聴く際、(当社は労働組合なし)パートタイム労働者を対象とした規則でも、正社員から労働者代表を選出して問題ないでしょうか。また、選出された労働者代表が退職した場合は、すぐに新しい労働者代表を選出する必要がありますか?【販売業】

回答

就業規則の意見聴取(労働基準法第90条)における「労働者代表」は、事業場の全労働者の過半数を代表する者である必要があります。この「労働者」には、正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員なども含まれます。民主的な方法により、正社員以外の労働者も含めた全労働者の過半数を代表する立場であれば、正社員以外にも法的効力が生じます。したがって、パートタイム就業規則であっても、正社員から代表を選んで差し支えありません。
また、選出された労働者代表が退職した場合でも、既に提出された就業規則の意見書や締結済みの労使協定は有効とされます。次回の就業規則の作成・変更や協定締結の際には、改めて労働者代表選出してください。

■労働者代表選出の民主的な方法とは
  【投票方式】候補者を募り、全労働者による投票で選出
  【挙手方式】全員が集まる場で、挙手により選出
  【労働者の話合い方式】会議等で議論し、合意の上で選出
  【持ち回り決議方式】書面を回覧し過半数の同意を得て選出

注意点:使用者(会社側)からの指名や、管理監督者が労働者代表になることは認められません。

■参考
 独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査(2018年)によると、代表者の選出方法は以下の通りです。(調査対象:6,458事業所)

  30.9%・・・投票や挙手
  22.0%・・・信任
  17.9%・・・話し合い
  6.2% ・・・親睦会の代表者等、特定の者が自動的になる
  21.4%・・・使用者(事業主や会社)が氏名
  0.3% ・・・その他
  1.3% ・・・無回答
 

調査からもわかるように、実際は、適正な選出がされていないケースも見受けられます。労働者代表を適正に選出することにより、法的効力を持つだけでなく、従業員の信頼にもつながります。また、労働者代表の選出方法が不適切での場合、36協定の締結自体が無効とされる可能性もありますのでご注意ください。

退職予定者への新規有給休暇付与(2025年8月)

質問

10月末に退職予定の社員から、保有している年次有給休暇を退職日までにすべて消化したいとの申し出がありました。
この社員には、9月に新たな年次有給休暇の付与が予定されていますが、すでに退職することが決まっている場合でも、付与する必要があるのでしょうか?新たに付与された分と前年の未取得分を合わせると、残日数は30日となります。
引継ぎ業務を確実に行ってもらうためにも、本人の申請通りに有給休暇を取得させないという対応は、問題がありますか。【広告業】

回答

退職予定者であっても、年次有給休暇の付与要件を満たしている場合には、労働基準法に基づき所定の日数を付与する必要があります。

【年次有給休暇の付与要件】(労働基準法第39条)
・雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、最低10日の有給休暇を与えなければならない。(第1項)
・6か月以上継続勤務した労働者には、雇入れ後6か月経過日から起算して、継続勤務年数1年ごとに、継続勤務年数の区分に応じた日数の有給休暇を与えなければならない。(第2項)

【時季変更権の制限】
労働基準法では、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社は、有給休暇の取得時季を変更することが認められています。しかし、退職日が確定している社員に対しては、他の日に有給休暇を与えることができないため、時季変更権の行使は認められていません。社員には有給休暇を取得する権利があり、申請があれば、会社はこれに応じる義務があります。

なお、社員が申請せず、退職日までに有給休暇を消化しきれなかった場合は、未消化分の有給休暇は消滅します。社員から「保有している有給休暇を買い取ってほしい」との申し出があることもありますが、会社には買い取る義務はありません。

ご相談のように、退職予定者が有給休暇の消化によって出勤日が減り、十分な引継ぎが困難になる場合には、会社が有給休暇の一部を買い取ることを条件に引継ぎへの協力を依頼、交渉するなど、柔軟な対応を検討することが考えられます。

一斉休憩の適用除外 休憩の実務(2025年7月)

質問

当社の休憩時間は12時~13時ですが、在宅勤務を行っている労働者の中には、この時間帯に休憩を取っていない者がいます。当社としては、業務の状況に応じて、在宅勤務中の休憩時間については、一定程度本人の裁量に任せてもよいと考えています。この運用方針に問題はないでしょうか。【人材サービス業】

回答

休憩時間は労働基準法第34条で以下のとおり定められています。

Ⅰ 労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分間、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
Ⅱ 休憩時間は一斉に与えなければならない
Ⅲ 休憩時間は自由に利用させなければならない

Ⅱにつきましては、以下のいずれかに該当する場合は一斉に与えなくてもかまいません。
①労使協定がある場合
②次に掲げる業種
〔運輸交通業、商業、金融広告業、映画演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署〕

 在宅勤務中の休憩につきましても、休憩の原則は適用されます。
したがって、在宅勤務を行う労働者に対しても、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、労働時間が8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません。
 また、商業、保健衛生業など一定の事業(前述の業種)を除き、休憩は一斉に与えなければなりませんので、貴社の場合、在宅勤務を行う労働者の休憩時間帯は、所属事業場の休憩時間帯と合わせる必要があります。
 ただし労使協定を締結すれば、一斉に与えないことが可能となりますので、ご質問のケースでは労使協定を締結する必要があります。

 労使協定には、一斉付与しない労働者の範囲と、休憩の与え方を定める必要があります。
 休憩の取得時間帯に一定の幅を持たせてその間に取得する、もしくは原則となる休憩時間を数パターン定めておき、業務の都合により取得する、などの方法が考えられるでしょう。

参考:厚生労働省 テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン

労災が起こったら・・・熱中症!?(2025年6月)

質問

当社は、工事現場に交通誘導員を派遣しています。例年、夏場の暑さ対策として、日陰で休憩ができる時間と場所の確保や、クーラーボックスの設置によるこまめな水分補給の指導を行っています。昨年は温暖化の影響か、異常な暑さが続き体調不良を訴える者が出てしまいました。今年もすでに暑さが増しており、夏本番を迎えるにあたりとても心配しています。熱中症のリスクを防ぐために、事前にどのような対策を講じるべきかアドバイスをお願いします。【警備会社】

回答

厚生労働省は2025年5月20日に「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」を発出しました。
これによると、職場における熱中症による労働災害が増えており、その対策を重要事項としています。熱中症による死亡災害の多くは、初期症状の見逃し、対応の遅れに起因していることから、熱中症の疑いがある者の早期発見と重篤化を防ぐために事業者が講ずべき措置等について、新たな規定が設けられました。

■熱中症への対応手順
熱中症が疑われる場合は直ちに作業を中止して、現場管理者に申し出るように社内周知を徹底してください。熱中症を防ぐための対応の手順などを周知することが今回の改正で義務付けられました。
なお、周知する手段としては、事業場の見やすい場所への掲示のほか、メールの送付、文書配布、朝礼における伝達などが想定されます。

熱中症が疑われる場合は、次の手順で応急処置を行います。専門的な判断が必要な場合もありますので、少しでも迷いや不安があれば、躊躇せずに専門機関へ救援を要請してください。
 ①意識の有無を確認する。意識がはっきりしていない場合は、直ちに救急車を要請
 ②意識がはっきりしている場合は、以下の対応を行います。
  •涼しい場所(エアコンの効いた室内、風通しの良い日陰など)へ避難させる
  •衣服をゆるめ、からだを冷やす(特に首のまわり、脇の下、足の付け根など)
  •水分・塩分、経口補水液(水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの)などを補給させる
  •自力で水分がとれなければ、直ちに救急車を要請

■危ない状況と対策
 ①直射日光が当たる →日陰を作る ファン・冷却装置付作業服
 ②照り返しが強い →休憩時に体を冷やす 打ち水
 ③風通しが悪い →送風機で気流を作る
 ④重労働 →台車・リフターを用いる 複数人で作業する
 ⑤休憩場所まで遠い →移動時間を考慮した休憩時間
 ⑥持ち場から離れられない →周囲の作業員に声掛け 単独作業を避ける

■3つの注意点
 ①前日のチェック
   □仕事前日の飲酒は控えめに
   □ぐっすり眠る
   □熱中症警戒アラートの確認

 ②仕事前のチェック
   □よく眠れたか
   □食事をしたか
   □体調は良いか
   □二日酔いはしていないか
   □熱中症警戒アラートの確認

 ③仕事中のチェック
   □単独作業を避け、声をかけ合う
   □監督者は現場パトロール
   □水分・塩分の補給
   □こまめに休憩

■応急手当カード(携帯用)
  ホームセンターで熱中症対策コーナーが設けられているのを見かけます。一度、相談されてみては如何でしょうか。
  (参考:厚生労働省リーフレット)

離職理由と助成金の関係性について ~解雇発生により助成金申請停止!?~(2025年5月)

質問

当社では、昨年10月1日に有期契約社員から正社員へ転換した従業員のキャリアアップ助成金『正社員化コース』の申請準備を進めていましたが、今年4月に「解雇」による離職者を1名出しました。離職理由によって助成金申請ができなくなる可能性があると聞きましたが、今回のケースではどうなるのでしょうか?【製造業】

回答

キャリアアップ助成金『正社員化コース』の対象となる事業主の受給要件のひとつに、「転換日の前日から起算して6か月前の日から1年後の日までの間に、以下に該当する離職者を発生させている事業主以外の者」とあります。つまり、転換日の前後6か月の間に以下のいずれかに該当した場合、助成金の申請ができなくなるということです。

  ◆「解雇」(懲戒解雇等の重責解雇を除く)による事業主都合の離職者を1名でも発生させている。
  ◆離職票上の離職区分1A(※1)の該当により離職した者がいる。
   または3A(※2)(「特定受給資格離職者」)に該当する理由で離職した者が、
   事業所の雇用保険被保険者数の6%を超え、かつ4人以上発生している。

(※1)解雇の他、3年以上契約更新が行われていたにもかかわらず更新がされなかった場合など、
    労働契約期間満了による離職も、内容により離職区分1Aに該当します。
(※2)退職勧奨、早期希望退職者の募集、事業縮小、賃金の大幅な低下等による正当な理由のある自己都合離職などが3Aに該当します。

転換日が昨年10月1日の場合、期間中に「解雇」(事業主都合による離職)が発生していると、受給要件を満たさなくなります。
今回の場合、離職させた日が4月1日以降であるため、助成金の申請はできます。

なお、離職理由はキャリアアップ助成金だけでなく、他の雇用関連の助成金にも影響を与える可能性があります。特に、離職区分1A(解雇等)や3A(退職勧奨等)に該当する場合、助成金申請条件の制限を受けることがあるため、事業主は計画的な労務管理を行い、離職理由に十分注意を払うことが必要です。
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)」

介護休業取得者への対応について(2025年4月)

質問

フルタイム勤務のパート従業員から、「家族の介護が必要になり、来月から休みを取りたいが可能か?」との相談がありました。当社としては、介護休業制度を利用してもらおうと思いますが、どのような案内をし、進めていけばよいでしょうか。【不動産業】

回答

2025年4月の育児・介護休業法の改正で、新たに介護を必要とする労働者に対して、介護に関する制度等の個別周知とこれらの制度の利用についての意向確認を行うことが事業主に義務付けられました。

■個別周知事項
   ①介護休業に関する制度について
   ②介護両立支援制度等(介護休暇・所定外労働の免除・時間外労働・深夜業の
    制限・介護のための所定労働時間短縮の措置)について
   ③介護休業および介護両立支援制度等の申出先
   ④介護休業給付金に関する事項について
       ※個別周知や意向確認の方法は、面談か書面交付。
         従業員が希望した場合はFAXや電子メールも認められます。

介護休業は要介護状態にある対象家族を介護する場合に、通算93日の範囲内で対象家族1人につき3回まで取得することができます。この間に従業員には自ら介護を行うだけでなく、今後仕事と介護を両立していくための体制を整えてもらうことが大切です。

個別周知および意向確認を行うにあたっては、介護に関する両立支援制度等の利用を控えさせるような形で行うことは認められない旨の指針が示されており、注意が必要です。周知事項①~④の他にも、休業期間中の社会保険料の負担方法(※)、相談窓口の設置やハラスメントへの対応方針等についても事前に説明し、従業員が安心して介護休業を取得できるような体制を準備しておくことをお勧めします。
(※)介護休業は、育児休業とは異なり、社会保険料は免除されません。

2つの会社で勤務する者の社会保険?!(2025年3月)

質問

従業員からの要望により、今年から副業を認めることにいたしました。早速、従業員から「実家が旅館を経営しており、家業を継ぐ準備のために役員として兼務したい」という相談がありました。
当社での仕事がメインになる約束なので、社会保険は当社で加入していれば問題ないでしょうか。【IT業】

回答

同時に2か所以上の事業所で勤務する場合、それぞれの事業所ごとに社会保険の加入要件を満たしているかどうかを確認する必要があり、いずれの事業所でも加入要件を満たした場合、両方の事業所で社会保険に加入することになります。
 ご相談のケースでは、従業員が役員報酬を受けるか、常態として経営に参画しているかがポイントとなります。これらの条件を踏まえて、加入要件を満たす場合は、両方の事業所で社会保険に加入することになります。
 
同時に複数の事業所で社会保険の加入要件を満たした場合は、資格取得手続きとあわせて、いずれか1つの事業所を主たる事業所として選択する届を提出します。そして、選択した事業所の管轄となる年金事務所、健康保険の保険者が登録などの事務手続を行います。
保険料はそれぞれの事業所から受ける報酬月額を按分(あんぶん)し算出します。

 参考:日本年金機構
  「兼業・副業等により2カ所以上の事業所で勤務する皆さまへ」 
   https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20131022.files/2kashoijyokinmu.pdf

小売業(2022年11月)

質問

従業員が結婚をしたことに伴い、健康保険被保険者証が新たに交付されました。
現在はマイナンバーと健康保険の情報が紐づいているとのことで、従業員が住民票上の氏名変更手続きを行えば、追って健康保険被保険者証が会社宛に郵送される(現在は協会けんぽのみ)ようになっているそうです。
しかし、この従業員には前夫との間の子供(10歳)がいますが、送付された子供の健康保険被保険者証に印字されている姓は旧姓のままで、被保険者の姓のみが変更されていました。
この健康保険被保険者証は使用できるのでしょうか?

回答

現在、市区町村で行われた氏名変更手続情報はマイナンバーに登録され、マイナンバーを介して基礎年金番号を管理している日本年金機構にもその情報が共有されています。

毎月ある時期になると変更情報が日本年金機構に一斉に共有され、年金機構は基礎年金番号を媒介にそれらを受信し、基礎年金番号に登録された氏名情報を更新することで氏名変更者を抽出することができるようになりました。
さらに、その情報を協会けんぽと共有することで、変更者のみ被保険者証の自動交付を行う仕組となっています。

日本年金機構が管理しているのは、あくまで基礎年金番号ですので、被保険者(基礎年金番号を把握している人)の変更情報は自ら把握できるのですが、被扶養者については配偶者以外は提出の必要がないため、被扶養者の氏名変更情報は受信することができません。

特に今回の場合はお子様が10歳とのことで、基礎年金番号自体が付番されていませんから、被扶養者の氏名変更は行われず、旧姓のままの発行となったものと思われます。
この場合は、被扶養者異動届により、お子様の氏名変更手続を行いますので、交付されたお子様の健康保険被保険者証を弊所にご郵送ください。

ガソリンスタンド(2021年12月)

質問

当社のアルバイトが兼業先の企業において業務上被災し、休業することになりました。
そのアルバイトは、このことが原因で当社を退職したのですが、先日、負傷日前直近3ヶ月の賃金額等の証明依頼がありました。
当社で被災したわけではありませんので、証明しなくてもよいでしょうか。

回答

複数の会社で働いている労働者の方については、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付が行われないこと、すべての会社の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を合わせて評価して労災認定されないことが課題となっていました。
このため、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)が2020年9月に改正されました。
これにより、①複数事業労働者の業務上の事由、②複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由または、③通勤による負傷等における保険給付の給付基礎日額は、事業ごとに合算となりました。
複数事業労働者とは、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(法1条)ですが、保険給付の対象には、複数事業労働者に「類する者」(法7条1項2号)も含みます。
「類する者」とは、負傷等の原因または要因となる事由が生じた時点で2以上の事業に同時に使用されていた労働者(労災則5条)をいい、算定事由発生日に2以上の事業に使用されていない者(令2・8・21基発0821第2号)が該当します。
傷病等の原因または要因となる事由が生じた時期に複数就業していれば、既にいずれかの事業を退職していても、賃金合算の対象になるとしていますので、御社の賃金額等の証明が必要となります。

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